2021年11月30日火曜日

今年の手荒れシーズン2021-2022:10月-11月

  • 溶剤や中性洗剤に触らない。触ったらすぐ石鹸とぬるま湯で洗う
  • 手洗いごとにクリームを塗る。塗り重ねないで洗ってから塗る。
  • 発症したら亜鉛サプリを飲む


それが前シーズンの結論でした。

特に効果があったと感じているのは、カサカサしたときに化粧水やクリームを塗り重ねるのではなく、一度手を洗ってから塗る、という方法。

あと亜鉛サプリ。飲み始めてから効いてくるまで1週間ぐらいかかりますが、飲んでると皮膚に厚みが出てくる感触。なお、よく聞かれるのですが、「あっち」の方に効いているかどうかは検証の機会がないもんで不明です。

しかし、やっぱり寒くなって湿度が下がってくるとダメですね。今年も手荒れの季節がやってまいりました。

10月15日 今年初めて右人差し指に皮膚のガサガサを観測しました。フラックスクリーナーを素手で扱ったあと手を洗い忘れたのが直接の原因だと思いますが。

夏の間は症状が出たときだけ亜鉛サプリを飲むという対応でしたが、毎日服用に切り換えました。

あと手洗いをしたあとに無印良品のエージングケア高保湿化粧水ケラチナミン20%尿素クリームも。

10月19日 触ると角質化した感じ(黄色っぽい部分)は残っているけどほぼ治った。酷いときの写真、例によって撮り忘れてしまった。


10月20日 ガサガサなおらず、口内炎まで発症。口内炎対策としてチョコラBB服用。ちょっとストレス気味なのでそれが原因かと思いますが、納品終わったので治ってくれればありがたいです。

10月22日 指のガサガサは治ってきた。口内炎は悪化ああ。

10月25日 チョコラBBだけでは治らないので、クリアイソジンでこまめにうがいしたら2日で治った。

11月10日 少しケラチナミンさぼっていたら指先がカサカサに。3日ほどで回復。

2021年10月19日火曜日

JLCPCBで基板を作ろう! - (1) 注文方法

 ※この原稿はJLCPCB社からの依頼により執筆しています。依頼だからといって手心は加えていないつもりですが、その旨、ご承知おきください※

■はじめに■

先日私引っ越しをしたのですが、40年前、社会人として仕事する前のバイト時代のお仕事メモが出てきてしまいました。知人の会社でZ80 CPUボードを作るお手伝いをした記録なのですが……A4サイズの両面基板で1枚28万円と書いてあります。当時は基本料金の他にスルーホール1個いくら、ドリル穴1個あたりいくら、という課金方式だったんですよね。回路図を渡してから2ヶ月ぐらいかかったような記憶があります。

それからさらに10年ほど前、自宅で塩化第二鉄で生基板をエッチングしてプリント基板を作っていました。廃液処理に悩んだもんです。

そして今。インターネット経由で基板を注文して、数千円で10日ほどで基板が届いてしまうのだから、びっくりです。21世紀ですねー(年寄りの感想)。

というわけで、2回にわたって、基板設計〜JLCPCBさんに基板発注〜届いた基板を評価〜実装……というあたりをお伝えしようと思います。

CADはEagleを使います。私が使い始めたころは結構高かったんですが……いまはFusion 360のおまけみたいになっちゃいましたね。時代は変わる。


■基板ですが■

今回作る基板は技術的にはそう難しくないけれど、同じものが繰り返しなのでできれば手で配線したくない、というタイプです。

24Vの信号入力が32本あって、それをフォトカプラで受けてラズパイに読み込むのですが、24Vの信号がプラスかマイナスかわからない(!)ので双方向性のフォトカプラを使い、ラズパイのI/Oも足りないのでMCP23017を2個使います。

作ることが決まったのが月曜日で、2週間後には現場に設置しなければいけない、という割と忙しいスケジュール。

現場で仕様を確認したのが10/4日、設計が終わったのは10/5日でした。

うちで基板を作る場合、だいたいこんな流れです。

  1. ブレッドボードなどで予備実験。DCDCなどシビアな回路の場合にはユニバーサル基板でプロトタイプを作ることもあります。
  2. Eagleで回路図を起こす
  3. Eagleでプリント基板を設計する
    1. 何はともあれERCで確認
    2. 各配線の太さなどを設定
    3. 「1点アース」を軽く意識しつつ、電流の方向を考えつつ部品を配置
    4. さっとAuto Routeを試してみる。ICの向きが間違っていたりすると無理な配線が生成されるので、間隔、向き、レイアウトを調整する
    5. ときどきDRC
    6. ある程度いい感じになってきたら、GND、大事な信号線(アナログや高速デジタル)を手動で配線します。簡単な回路の場合にはAuto Routeだけで済ませることもありますが、それでもGNDだけは手で貼っておいた方がいい結果になります。
    7. 残りのわりとどうでもいい配線をAuto Routeと手動で、Air Wireがゼロになるまで繰り返し
    8. 100%になったところでsch / brdファイルをコピー
    9. ベタGNDを配置してAuto Route
    10. 最後にもう一度DRC
    11. CAM Processorでガーバーを作る
  4. 一晩寝かせる
  5. 基板業者に発注する
  6. 届いたら実装する

という流れです。

今回は時間がないし単純な基板なので上記6なし。AutoRouteのみで作りました。


■ガーバーファイルを作る■

プリント基板はガーバーファイルで発注します。ガーバーファイルはCAM Processorで作ります。PCB屋さん各社、自社用のCAMを用意しているところが多いです。JLCPCBさんのEagle gerberはこちらから。お使いのEagleのバージョンに合ったCAMファイルをダウンロードして、所定のディレクトリに置きます。ファイルはレイヤー数ごとに用意されています。普通の両面基板なら2_layersです。

WindowsとLinuxについては記述がありますが、Macについては書いてないですね……Macの場合は、~/書類/eagle/cam/の下に入れておくとよいかと思います。あと、私のところではダウンロードすると.cam.txtという拡張子になってしまったので.camに修正します。

How to Generate Gerber and Drill Files in Autodesk Eagle

Eagleをbrdウィンドウに切り換えます。

ツールバーのCAM processorアイコン、あるいはFileメニューから「CAM Processor...」を選びます。


次に、Load Job Fileアイコン(フロッピーディスクアイコンの左)をクリック、Local CAM jobs >can > jlcpcb_2_layer_v9.camを選びます。




右のOutput Files一覧のTop Copper, Bottom CopperなどをクリックするとGerberとして出力されるファイルの中身を見ることができます。長方形以外の基板だとときどき外形が間違って認識されていたりするので、Board Outlineで確認します。あと、標準状態だとシルクにはNameしか出力されませんが、tValueも出力したい場合にはSlikscreeen Topを選んでLayers一覧の左下アイコンをクリックしてtValueを追加します。

確認して間違いがなければ、右下のProcess Jobsボタンをクリックします。数秒でファイル保存ダイアログが開きます。任意の場所・ファイル名を指定してSaveをクリックします。

Gerberファイルは通常はzipで圧縮されています。

以上で発注に必要なGerberは用意できました! 


■発注!■

ブラウザでjlcpcb.comをアクセスします。Sign Inからログインしますが、初めてのアクセスの場合には、Sign In → New Customer Start Hereからアカウントを登録してください。

私はGoogleからサインアップしています。


するとトップページの中断左側に「Add gerber file」のリンクがあるので、ここからさっき作った.zip形式のgerberファイルをアップロードします。数秒〜数十秒後、画面が切り替わり、さっき作った brd が表示されるはずです。

以前は寸法など手入力しなければいけなかったんですが、今はガーバーアップロードすると自動的に読み込んでくれるので楽になりました(しみじみ)。

さて、あとはPCB製造に必要な条件を入力していきます。

  • Base Material……基板の材質、普通のFR-4がデフォルトです。
  • Layers……ここはGerberを読み取って必要な層数が設定されますが、古いEagleの設定のままだと変わってしまったりするので念の為確認します。
  • Dimensions……基板サイズ、Gerberから読み込まれます。設定通りか確認します。
  • PCB Qty……製造枚数です。5枚でも10枚でもあまり変わらないから金額をみながら適当に……と必要以上に作っていると家の中があっという間に使わない基板でうまるので気をつけます。
  • Different Design……一つのガーバーに複数の基板が含まれている場合、申告します。カットなどの手間もかかることですし。
  • Delivery Format……ここはパネライズの指定です。1枚=1枚ならSingle PCB、自分でパネライズするならby Customer、JLCPCBにやってもらうならby JLCPCBです。JLCPCBを指定すると、縦横何枚並べるかを指定する入力欄が出てきます。
  • PCB Thickness……基板の厚さ、標準は1.6mmです。1.0mmとかちょっとオシャレです(※個人の感想です)。
  • PCB Color……レジストの色を指定します。緑が標準です。黒はつや消しでいい感じですがフラックスが目立ちます。白はもっと目立ちますので、ご自身のはんだ付け技術(あるいは洗浄技術)に自身のある方のみチャレンジしましょう。
  • Silkscreen……シルクの色はレジスタ色によって自動的に決まります。
  • Surface Finish……パッドの仕上げです。HASLはハンダメッキ、with Leadは共晶、LeadFreeは鉛フリー、ENIG-RoHSは無電解金メッキです。
  • Outer Copper Weight……外層(両面)の銅の厚さで1ozは35um、2ozは70umに相当します。通常は1oz = 35umで十分です。うっかり70umを指定して広いベタグラウンドを貼ったりするとはんだが溶けなくて大変ですので、ご利用は計画的にどうぞ。
  • Gold Fingers……いわゆるカードエッジコネクタを作り込む場合に指定します。
  • Confirm Production file……JLCPCBのエンジニアに事前確認してもらうか否か。慣れないうちはYesにしておくと、レイヤーの指定ミスなどを指摘してもらえるので安心です。
  • Flying Probe Test……製造後の導通チェック。チェックしてもらえるならやってもらった方が?と思いますけども、どうしてもチェックで基板に傷がついてしまうので、それを嫌う場合にはNot Testを選びます。
  • Castellated Holes……いわゆる端面エッジがある場合にはYES
  • Remove Order Number……JLCPCBの製造管理番号を入れないようにする場合はYESを選びます。小さく開いている場所に入るので私は気にしないです。

以上、選ぶごとに右の金額がその都度、変わっていきますので、金額を確かめながらいろいろためしてみてください。

私は今回、業務用の基板なので、100x85mm、5枚、緑1.6mm共晶ハンダメッキ仕上げ、すべてデフォルトのままで作ってもらいます。

仕方ないこととはいえ、送料の方が高いんですよね……。でも、冒頭書いたように昔は数十万円だったものが数百円、送料いれても数千円でできちゃうんだから……いやー長生きはするものでございます。

あとはSAVE TO CART、住所を入力したり、クレジットカードを登録したり、という海外通販おなじみの作業をして発注するだけです。

……未だに、発注ボタンを押す前にはつい祈ってしまいます。

数千円なんですけどもね……。

というわけで、以上、発注まで、でした。

■コメント欄について■

コメント欄にコメントできなくなってしまいましたのでこちらでお答えします。お取引のある商社さんに相談されるのがよろしいかと存じます。JLCPCBには発注しデーター承認後に支払う、というオプションがありますので、その際にPayPal支払いを指定して商社さんから支払ってもらい、発送先を商社さんにするとか……。あとJLCPCBには日本語達者なスタッフさんもいらっしゃるので、そちらと相談されるとか。

あるいは、ココナラかクラウドワークスにビジネスアカウントを登録していただければ、私が代行することも可能です。ココナラもクラウドワークスも請求書支払いが可能ですので、会社取引としては、ココナラ/クラウドワークスとの取引になります。ただ、これらは手数料が20-30%程度取られますし、あと私の手数料も必要です。

2021年7月30日金曜日

AMTECHジェルフラックスの正しくない使い方

2020年4月ごろ数人で共同購入したのですが、私の手元には2本残しました。1本は冷蔵庫に保管しておき、もう1本は常温でそのまま使う、という暴挙です ^ ^

有効期限は今年の4月17日まで。

有効期限の少し前、2月ぐらいまでは常温保存でも正常につかえていました。

有効期限を3ヶ月超過した今日7月30日、QFP(STM32F413)をはんだ付けする必要があり、久しぶりに引っ張り出しました。が、さすがに活性が落ちていると感じました。1回熱を加えた状態ではフラックスとしての効果があるのですが、2回、3回とコテが通るとハンダのツノが立ってしまって、フラックス切れの状態になってしまいます。

期限切れになるとこういう状態になるんですね。

同じ条件で冷蔵庫に保管していたものを使ってみたところ、現象は同じでした。つまり、常温保存でも冷蔵保存でも、あんまり違いはない感じです。いつぐらいまで使えたのか、もうちょっとコマメに調べていれば良かったのですが……。

そんな厳密さの欠ける実験結果ですが、少なくとも常温保存でも期限の少し前までは正常に使えていたので、半年ぐらいの頻度で購入しているならそんなに神経質に冷蔵庫から出し入れしなくても大丈夫、という印象です。

なお、そんな期限切れのジェルフラックスですが、ハンダ吸い取りなどには十分使えます。吸い取り線のフラックスと違って焦げないし拭き取りがラクなので、捨てないで吸い取り用に使おうと思います。

しかし、10mlのシリンジで買ったんですが見事に7割ぐらい残ってますわ。AMTECH、素晴らしく高性能なのですが……送料が高い(DHLで$46)のがネックなんですよね。

とりあえずサンハヤトのジェルフラックス HD-F25を試してみようと思います。送料込みでの最安は千石電商かしら。早いのはアマゾンですが値段ビックリ。


2021年7月27日火曜日

わたくしと手荒れ

■結論■

亜鉛サプリとケラチナミンコーワ 20%尿素配合クリームで改善。

■経緯■

 ここ10年くらいでしょうか。2月の乾燥した時期になると指先があかぎれして酷いときには出血するようになったのは。

  1. 2月になると両手親指にアカギレが。無印良品の化粧水で悪化防止できると気付く
  2. 次第にアカギレの始まる時期が速くなる
  3. 12月に始まり3月ぐらいまで。両手親指人差し指に拡大。
    皮膚科のステロイドとヒルドイド軟膏で治る
  4. 無印のエージングケア高保湿化粧水とユースキンを一緒に塗ると治る
    どちらか単体では駄目で、化粧水が生乾きぐらいのところでユースキンを塗ると良い、という塗装工のようなノウハウが一応確立
少なくとも春が来て、湿度計が動き始めるとの治っていました(冬は乾燥しすぎて「Low」としか表示されない)。

が、今期は11月ぐらいから症状が出始めて7月現在も直りません。5月になっても治らず、5月末に引っ越しをしてガムテープを剥がしまくったら更に悪化し皮膚科に行くとかなり強めのステロイドが処方されました。

指示された通り、朝晩風呂上がりにステロイドを塗ると3日ほどで症状はおさまるのですが、やめるとまた再燃します。やめたあと、おなじみ高保湿化粧水を塗っていると2日ほどいいのですがだんだん皮膚が固くなってきて、固くなったところが破けて出血し、そこから皮膚が剥がれてまた元の木阿弥、を繰り返しています。

最悪の状態だと顕微鏡が使えないので、これは少し良くなった状態です。てかてかになった皮膚が破れたところ


ガサガサでどんどん皮膚が薄くなっていくところ


こんな感じです。それから、こんなのを試しました。

  • コラージュDメディパワー保湿ハンドクリーム
  • 薬用ハンドクリーム&尿素シリーズ 薬用スーパーさらさら
    • 上の2つは皮膚が直った後、カチカチになってまたひび割れる
  • 馬油&尿素配合ハンドクリーム
    • 少し効果があったけど香料がきついので使い続けられない
  • カミさん特製ホホバオイルクリーム
    • 皮膚が固くなることもないけど使用をやめるとまたガサガサに。

キーボードを叩く職業なのでベタベタするのはなるべく使いたくないのですが、ベタベタしないやつは皮膚がつながって治ったように見えたあと、皮膚がプラスチックのように固くなってきて割れます。馬油+尿素とカミさん特製は少しベタベタするものの効果はありました。ただ、使うのをやめるとまたガサガサに。

加齢だからしょうがないとはいえ、せめて乾燥する真冬以外はクリーム無しで過ごしたいものです。

ということで数百円の製品をいろいろ試しましたが、現状では、ケラチナミンコーワ 20%尿素配合クリームを使って改善されてきました。アマゾンで440円。少しベタつきますが、匂いがないので食事前でもOK。

  • 指先がカサついてきたら手を洗う。
  • 手を洗った後、入浴した後、まだ湿っているうちにクリームを塗る。多いとベタベタするので少量塗って足りなければ少し足す感じ。ただ尿素のせいで実際にベタついていなくてもベタついているように感じてしまいます。
    • 上記同様少しずつ様子を見ながら塗り足す
    • 多めに塗ってしばらく置き、紙で拭き取る
    • など、いろいろ試して自分にあったやり方を見つけてください
  • 寝る前に歯を磨いた後で念入りに手を洗ってから少し多めに塗る。ベタベタするからタブレットでマンガ読んでないでさっさと寝る。
    • 翌朝、皮膚がきれいになっていてビックリ

という運用で表面がプラスチックみたいになって割れる剥がれる→またやりなおし、という魔のサイクルが避けられています。

ただ完治しません。塗るのをやめるとまたガサガサに、という連鎖は止められませんでした。が。「亜鉛」のサプリを飲んで1週間。3日間クリーム塗らなくても保ってます。現在は
  • 亜鉛のサプリを毎日飲む
  • 特にケアはしないがカサついたと思ったらケラチナミン尿素クリームを少し塗る
という運用で皮膚がボロボロになったりカチカチになったり、という状況を回避できています。

加齢が一番大きいのでしょうが、3Dプリントでいろんな化学物質が身の回りに溢れているので、そのせいもあるだろうなーと思っています。

2021年5月17日月曜日

ニキシー管時計修理:管内短絡

 毎度おなじみのニキシー管修理でございます。

今回のご依頼は、IN14のキットで「数字の5と6が同時に表示される」という故障。届いた時点では時計としての動作もしない。どうやら輸送中にどこか剥がれた模様。

あたりをつけてRTCのDS1307のハンダを一度吸い取ってから付け直すと、回復。

次に依頼の件。Tube Hobby社製品なのでK1551D1の故障と判断。ただ、2階建てになっている2階のニキシー管基板単体でも5と6に導通がある。150Ω前後とハンダによる短絡にしては抵抗値が大きい。ので、全桁の5と6のハンダを除去してフリーにしてみると、一桁だけ短絡している。

なんと管内で電極同士がショートしていた。私は初めてです。

ということで、問題の管を特定して、FR-400で取り外し、新品と交換。組み立ててみると5/6がちょっと暗い。大きな負荷がかかっていたせいでK1551D1も破損しか買っている様子。ソケット無しでハンダ付けされたDIP 16ピンを取り外し、ソケットを取り付けてからこれも新品のK1551D1と交換。

あ。また壊れているときの写真取らなかった……。




2021年5月15日土曜日

ハンダ吸取機FR-400のメンテ

FR-400は手入れをサボるとすぐにノズルが詰まります。

だいたい3-50箇所ぐらい吸っているとスルーホールがキレイに抜けなくなってきて、操作パネルを見ると「CHK」(つまってますよ)サインが点灯している。

熱くなっている状態でクリーニング棒が通らないので、つまっているのはハンダではありません。もちろん、溶けたハンダに屈するようなFR-400ではないのですが ^ ^

ということで分解掃除。右のごついやつをかぶせて撚るとノズルが外れます。撚る時の「ガリっ」でも「パチッ」でもない、「ゴクッ」っていう感触に萌えます(意味不明)。

ピンバイスで掃除するとこんな感じの黒い粉が出てきます。

細かいのでわかりにくいですが、一番似ているものはススです。気流の速度が速いのでハンダやフラックスが微粒子になり酸化というか炭化したんでしょうか。交換可能なノズルだけでなく内部のノズルも掃除しておきます。

ハンダ溜まりも掃除しておきます。以前、こんな感じになっていて、自然の造形に感動しました。もちろん詰まってます。テヘ。

割とでかい部品が多かったのでハンダ量凄い。左側にあるのはフィルター受けで、皿上の部分に熱いハンダがぶつかり、裏にあるフィルターを守ります。

フィルターを外すとこんな感じ。変色しています。まだ使えそうな感じですが一度外したフィルターは隙間ができてしまうので捨てます。ハッコーさんはこういう消耗品が地味に高いのでちょっとつらい。

作業時間は5分ぐらい。それでまたスパスパ吸えるようになるから、やっぱ定期的にメンテしないといけませんね。

2021年5月1日土曜日

ゲーミングマウス(G604)静音化

 あたしゃトラックパッドだし、その前はトラックボールで何年もマウス使っていない……と思ったけど、転職した直後はマウス+Windows PCだったなぁ(遠い目

という前置きはさておき、ココナラで「ゲーミングマウスのスイッチを静音化スイッチに交換して欲しい」というご相談。プラスチック製品を分解する才能がないので、基板の状態で交換するスイッチも送っていただくという前提で受託しました。

到着した基板はつや消し黒基板に鉛フリーはんだ、ハンダ付けされたスイッチはスルーホールで脱落防止の曲がり付き。



以前だったら傷つけないように古いスイッチを取り外すのは大変だったと思いますが、ここはハッコーFR-400で。鉛フリー用のノズルに交換して……7個のスイッチ、どれも一発で外せました。

買ってよかったFR-400

あとは高さとセンターをあわせて裏返しハンダ付け。1回路2接点のスイッチが2個あるのですが、送っていただいた交換部品は1回路1接点。確認したところ、1接点側でOKとのことなのでそのまま位置を合わせて装着。

あとはフラックスクリーナーとJKワイパーと工業用綿棒でひたすらお掃除。

できあがりがこちらです。きれいー(自画自賛)。


ハンダは例によって千住金属工業のECO SOLDER GA-ST F2 M24AP。鉛フリーなのにこの見事な光沢。D8, D4の下の2つとその上、肩のところの左右2つずつ、などが私のハンダ付けです。もともとのハンダは真っ白ですが、M24APは完全な鏡面なので真っ黒に見えます。

顕微鏡写真がこちら。黒く見える6つの「ー」みたいなのが交換箇所です。


ロジテックG604について同様の作業をご希望の方は、分解済の基板のみお送りいただくことが条件で6,000円(ココナラ手数料込み)です。交換用スイッチは現在取寄中ですが、もしボタンと基板をお送りくださる場合には5,600円(同上)です。

追記2021-12-22 : 送料元払いでお送りください。こちらからお返しする際の送料は当方が負担致します。

こちらまでご相談ください(ココナラ:ハンダ付けします)。

ココナラ案件:10音同時発声導電ゴム楽器

●経緯●

「導電ゴムに電極をあてた位置に比例した周波数を発生する回路。電極は同時に6個まで。作れますか?」というご依頼でした。問題なさそうなので、まずは「ご相談案件 5,000円」として受注しました。

やりとりをしながら、周波数の範囲、距離と周波数の関係式、設定条件、キャリブレーションの方法、などを決めていきました。

最終的に提出した仕様書はこちらです(一部伏せ字)……5,000円の成果物です。

長さ検知による音響発生装置(仮称)概略仕様書 ver 3.0

本仕様書は以下の仕様にて動作する装置の電子回路部分の構成および動作を定義します。この仕様書はココナラでのやりとりをまとめたもので、差異が生じた場合はココナラでの議論を優先します。また齟齬や未定義の仕様が発覚した際には双方協議の上円満に解決します。

作成者:倉橋浩一

作成日:2021年xx月xx日

●装置の動作

1つの導電ゴムに電極をあてるとその位置に応じた周波数の信号を発生する。電極から信号発生器までは6組を用意する。信号発生器からの6chの信号はオペアンプ加算回路により合成された後、D級アンプにより増幅され、スピーカーより出力される。D級アンプ手前には音量調節のためのボリュームを設ける。位置から算出される周波数と実際に発せられる信号周波数の誤差「ドであるべき距離のところでド♯の音が出るなどはしない程度」とする。

なお、この装置は導電ゴムの抵抗値が距離と比例していることを前提としている。ただ導電ゴムの性質上、比例していない可能性もある。そのような場合に備えて、距離ごとの抵抗値を直線補間するマップ機能の組み込みも検討しておくものとする。

発信する周波数範囲は「65.406 Hz(音階名C2)〜1046.502Hz(音階名C6)」とする。

●動作原理

導電ゴムを分圧抵抗体とみなし、左端にGND、右端にVccをあたえ、電極はGND間の電圧を取得する。

●使用部品

・Teensy 4.0

・方形波発生回路 

 「3ch出力プログラマブル周波数ジェネレーターモジュール」 x 2 

・分周回路 

・オペアンプ加算回路

2W D級アンプ 

・スピーカー

・導電ゴム接続端子(2端子)

・電極用ターミナル(6端子)

・プリント基板

・ACアダプタ

・その他、抵抗、コンデンサなど

●顧客資材

・導電ゴムとそれを支える電極、電極や全体を支える筐体などは顧客自身が用意する。

●使用方法

起動時に後述のキャリブレーションを行う。その後は、任意の電極を導電ゴムの任意の位置にあてることで計算した周波数の信号を発する。

●キャリブレーション機能

導電ゴムは空気中のオゾンや吸湿により劣化して抵抗値が変化する。変化した抵抗値は出力する信号周波数に影響するので、キャリブレート機能を設ける。キャリブレーションは6本の電極を導電ゴム中央にあてた状態で電源を投入することで自動的に行われる。

●スケジュール

上記6音仕様をxx月20日までに納品する。ただし余力があれば10音とするための追加ユニット(2台目)をxx月末までに製作する。なお、2台めの製造は義務としない(以下同じ)。

お取引の手順は以下の通り:

1. 受託者はxx月20日までに1台を発送する。

2. 発注者は到着後24時間以内に動作確認を行いフィードバックする

3. 受託者は対応可能であれば2台目を作りつつ最初の1台のフィードバックを待つ

4. 発注者と受託者はメッセージにてフィードバックについて相談する

5. 改良が必要な場合

  →2台目に改良を加え送る。

   1台目も送り返してもらって改良し送る

 改良が不要な場合

  →2台目を送って納品完了

発注確定後に仕様を変更する必要が生じた場合には、発注者・受注者相談の上、スケジュールおよび見積を調整すること。

●お見積り

<省略……豪華ディナーという感じです>円です。

10音として動作させるための2台目については成功報酬としてココナラの「おひねり」で<寿司1回分ぐらい>円を追加でお支払ください。

以上ご検討よろしくおねがいします。

6音でもギリギリなのに10音というご要望が出たときは脳みそが少し溶けました。そこはオプションにしていただいて、合意しました。相談案件はクローズとし、新たに上の仕様書を元に制作案件を発注していただきました。


●ほぼ順調

ええ、つねに「順調」では終わらないですね。

  1. いい感じのゴムが見つからない
  2. Teensyが入手できない
導電ゴムとして入手できるのは2種類ほどあります。良いやつと悪いやつだ……じゃなくて、静電気を防ぐ抵抗値の高いやつと、電卓やリモコンなどに使われているスイッチ用導電ゴムシートです。今回は後者なのですが……いい感じのものがなかなか手に入りません。とりあえず300x100mmのものが見つかったのでそれを使い、あとは依頼者側でも探し続けてもらうことに。最終的には3000x1000mmという巨大で比較的抵抗の小さいものが見つかりました。
デカイすぎる……

あとはTeensy。計画中は在庫があったんですが、さあ買いましょうとなったらどこもすっからかん。ということで手元にもあるESP32 DevKitCを使うことにしました。後にこの選択が大問題を引き起こします。

●試作1号

今回、最低限の動作確認をしてからスケール!という方針だったので、3音分の回路を作って顧客に送り、動作テストをしてもらいました。現状での問題は下記2点ありますが、機械部分とのマッチングを確認する必要があるので、とにかく音がでるやつを送る!という感じです。ご相談いただいてから2週間です(白髪)。


その間に6音分の基板を作ります。いろいろあって、1枚の6音分基板にはESP32 x 2、Si5351A x 2、分周回路 x 6が乗ります。

アンプ基板は6音基板からの6個の方形波を入力とし、1200hz, 6dB/octのローパスフィルタで少しでも方形波っぽさを減らしてから加算回路で合成してからD級アンプで増幅しています。あとDCアダプタのジャックも設けて、アンプ基板側から2枚の6音基板に給電する形式としました。加算回路とLPFは例によって表面実装抵抗を基板裏のランドに直接はんだ付けしています。12音出ることを確認してから梱包発送しました。


……半固定抵抗がまがってますが、ピンヘッダに刺しているだけですので……まっすぐ直して写真を取る時間がなかったんじゃよ……。ちなみに下の黒いのが導電ゴムシートです。

●大問題

入力の変動です。導電ゴムなんて面積のあるものを使うからある程度は覚悟していたのですが、ぜんぜんあきまへん。10HzのLCR LPFを入れても別スレッドでADCを読み込み1:1000の移動平均を使っても音がニョロニョロと振れます。

原因はESP32内蔵ADCのノイズでした……以前使ったときはここまでひどくなかったんですが、今回はもうグラフが折れ線になるレベルでした。基準電圧外から入れたい。

ということで、外部ADCとしてMCP3204を使ったところLPFと1:25の移動平均でも音がピタリと止まりました。ただ、この時点で6音基板はできていたので、MCP3204を乗せる場所がない。仕方なくESP32 DevKitCの下に突っ込みました(写真)。



まぁADCではESP32に大迷惑を被ったのですが、ESP32は簡単にFreeRTOSを使えるのでアナログ読み込みの処理を全部別スレッドに押し付けたりで楽できました。

●小問題

上で「ピタリと止まりました」とありますが、移動平均なので電極をあてた瞬間にはその音が出てくれません。押した時離した時にミョッミュッと音が上下します。

これの対策は簡単で……離した状態→押した時、押した状態→離した時に移動平均バッファをリセットするだけです。

●試作2号

ということで固まった回路仕様に基づいて2号機を作ります。前にも書きましたが、私はユニバーサル基板で作るときには基板上で部品がぶつからないか確認(←超大事)したあとで表計算シート上に表から見た配置図を作り、電源の色分けと布線を考えた後、左右反転した表を作ってこれをみながらはんだ付けします。IC資料はTop Viewなので裏側のはんだ付けをするときには裏返して考えないといけませんし、あちこち資料をみたり余計な脳みそを使う必要がなくなるので負担が激減します。


特に今回のように同じのを2枚作る場合には1枚送ってしまってもそのまま作業できますし、もとの図を履歴として残せるので改造プランも簡単です。

この辺のことを先輩ハードウェアエンジニアと話していたら「そのへんの発想はソフト屋さんやねえ」って笑われました。「裏表なんて考えなくてもできるやろ」って言われたんですが……ハード屋さんってみんなそういう生き物なんすか?!

●試作1号の改良

戻ってきた1号に2号機と同様の回路を組み込みます。配線の色分け大事よね……。

●納品

一発オーケーでした。良かったよかった……。最終的な成果物はこちらです。

落ち着いてきれいな写真を取っている時間がなかったんじゃよ……。


●以上

これでお仕事はおしまい。ココナラをクローズしました。追加の10音まで完了したのでおひねりで成功報酬も追加していただきました。

こんな装置も作れます(短納期はなるべくなら避けてくだせえ)。依頼者の方からお許しをいただいてますので、同じ装置を作ってくれという依頼にもお応えできます。

アイディアのある方、お気軽にご相談ください。

マイコン応用製品の開発相談受け付けます 事前相談で詳細見積作成+実際の開発製造のツーステップで対応!

2021年4月28日水曜日

Thermal Seek Compact買いました

 今までM5Stackの簡易版で何とかやってきたんですが、もっと高性能高解像度のサーモグラフィーがあればリワークなどの際に対象位置の温度を正確に把握できて修理品質があがる!

てことに今更ながら気付いてですね。

買いました。まぁ、わりと強力な電源とちょっとした電源、2件の開発案件が来ていて、その検証用に使えば元が取れますし。

スマフォ対応サーモグラフィーとしては「FLiR」が有名なのですが……これはAmazonのレギューを見ると正規品・1年保証であっても、「正常に使っていれば壊れるはずがない。故にお前の使い方が悪いのだ」というスーパーロジックで修理拒否される、という感じなので、欲しいけど壊れたら……と手が出せませんでした。

FLIR(フリアー)【国内正規品】iPhone/iPad用 FLIR ONE Pro LT版 4800画素 1年保証 赤外線サーモグラフィ

と、煩悶していたところ先輩氏から「Thermal Seekも良いぞ」と教えていただいて。今まで全然知らなかったのですが、とりあえずレビューに悪いこと書いてないですし(重視)、値段も手頃なので購入しました。FLIRのウリであるスマフォのカメラで撮影した可視光画像と重ねる機能はないんですが、こんだけ解像度高ければ、チップ部品も把握できるじゃろ、と。

【国内正規品】Seek Thermal シークサーマル Compact iPhone/iPad用 サーモグラフィーカメラ 赤外線カメラ

で、到着して5日、やっと開封して使ってみました。iPhone 12 miniに取り付けると、「アプリがねえよ」と言われ、App Storeへ行けばそのままインストーラーが起動する。全然探したり迷ったりする手間もなく起動します。


私の中の小学生はとりあえずマグカップを撮影したりしていたのですが、おおっと思ったのがこの写真。お仕事中のiMac 5kにカメラを向けてみた画像です。


上の方はiMac自身の発熱だと思うのですが、中央付近、巨大なウンコのような物体が左側の手を上げているのがおわかりでしょうか。モニターの前の私です。反射した像がそのまま写ってるんですね。

表面温度を捉える、という意味では、どーなの?という気もしますけど、反応速度や感度はとりあえず問題なさそうです。

キーボードの奥にあるマグカップを撮影したのがこれです。マグカップが温かいのはあたりまえですが、その手前にあるキーボード、ホームポジション付近がほんのり緑色になっているのがおわりいただけるでしょうか。


駅のベンチなどで他人の体温を感じるのは微妙に不快だったりしますが、これがあれば事前に観察して冷たいベンチにだけ座れます(何の意味が)。あと、フローリングで立ち仕事した後なんかもはっきり残りますね。

いやー、おもしろいわー。

あ、もちろん本来の目的である電源動作確認なども進めます。どうぞよしなに。

2021年4月6日火曜日

ニキシー管時計修理:破損したIN14の交換

ココナラ経由でのご依頼で、左から2桁目だけが数字の一部分しか表示されないとのこと。


この時点での予想は桁ドライブ回路の損傷かニキシー管の劣化でした。点検作業を発注の上送っていただき、分解点検するとセグメントを駆動する回路は3桁共通で桁を駆動する回路は2桁ごと、というおもしろい回路。共通する他の桁 / セグメントと波形を比較してみるとまったく同じで異常なし。ということでニキシー管の劣化が原因と診断して、修理費用と期間をお見積り。うちにはIN14がないのでロシアかウクライナから仕入れる必要があるので期間は長めになりました。

お見積りに同意いただいて受注。

まさにそのタイミングでTwitterで知人から各種ニキシー管譲渡の打診が!

おかげで良質の管を1週間で入手できました。

さて、修理です。


まずIN-14を外す必要があります。13本のハンダを吸い取ってピンを抜く作業……考えただけでうんざりなのですが……私にはFR-400という強い味方が! 

白光 はんだ吸取器 FR-400

300Wのステーション型ハンダ吸取機なのですが……パワーもさることながら、ポンプで一定以上の圧力に下がってからバルブが開く構造なので、一気にハンダが吸い取られスルーホールがつるっつるになります。

今回の修理でも、ピンにノズルを当てて熱が十分浸透したところでピンを動かすようにしながらトリガーを引いて吸い取るx13、この時点でもうニキシー管はグラグラで1本にハンダが残っているだけでした。最後の1本にコテを当てて引っ張れば簡単に外れます。その間、約2分でした……吸い取り線や前に使っていたFR-301なら30分はかかっていたと思います。

さて、無事IN-14を外したあと、新しい(製造50年近いけどね)IN-14を刺して仮止めし、通電。正常に点灯することを確認しました。対角の2本を仮止めしてから、ピンをまっすぐに伸ばしてからカットします。真っ直ぐに伸ばすのは次に修理する人が困らないように。基板に沿ってピンを曲げると、はんだ付けは楽になるんですが、次にニキシー管を交換するときの作業が非常に困難になりますので。さて、全部はんだ付けをすませて、最初の仮止め2本をカットしてからきれいにハンダを盛ります。

動作確認、問題ありません(点灯確認のために「シュタゲモード」にして録画しスローモーションで再生しています)。


フラックスクリーナーで清掃して出来上がり、念のためにサーモグラフィーで発熱箇所などがないか確認してから梱包・発送しました。

いやー……FR-400、ワタシ的には清水の舞台から全裸で飛び降りるぐらいの勇気が必要な金額なんですが、買ってよかったです。商売道具には投資しないとね……。

2021年2月18日木曜日

色覚異常と電子工作

 あまり意識していなかったのですが、同じ会社の方に「色覚異常だと、この色は区別ができないよ」と言われて初めて気づきました。

ということで、色覚異常でも見やすいLEDの組み合わせについて考えてみました。

なお、ここで言うLEDの色は、RGB LEDの組み合わせによる調色ではなく、その色の波長で発光するLEDのことです。RGB LEDは加色混合でいろいろな色を表現できますが、色覚異常は特定の波長の感度が低かったりで同じような結果にならないからです(人によって違うそうです)。

目標としては「危険」「警告」「正常」の3つの状態を、色覚異常の人でもそうでない人でもマニュアルなしに正しく認知できること、です

朝からググりまくったのですが、「区別できない2色の組み合わせ」はたくさんありますが、「区別できる3色」はなかなか見つからず……ようやく見つけたのがこちらです。

色弱とは? 日本人男性の20人に1人いる「色の見え方が少し違う人々」のために

こちらのページに「色覚シミュレーション」の図があります。ここの違う段の色を使えば違う色として識別できる、はず。

ということで、

  • 危険:赤がするどく点滅する
  • 警告:オレンジがふんわり点滅する
  • 正常:青緑が点灯しっぱなし

という組み合わせを使おうと思っています。

ぜひとも色覚異常の方のご意見をいただければ幸いです。

2021年1月13日水曜日

受託開発事例:24桁 7セグメントLED表示基板

クラウドワークス案件です。提案が4人の方とコンペになりましたが、短納期と提案内容が要望にフィットしていたことと、スイッチサイエンス様などで製品を販売している実績をご評価くださった、とのことです。実際契約は12月25日、年末年始を挟んで、先方への到着は1月8日でしたから丁度2週間です。

クリスマス?正月?なにそれ。

1.ご相談内容

Arduino nano + DIPのMAX7219 x 3個で24桁の7セグメントを駆動する基板を作って欲しい。

2.提案・契約内容

ブレッドボードで回路の検証をした上で基板を設計・発注し、1枚をサンプルとして実装して動作確認した上で、動作確認基板1枚と生基板5枚を納品する。24桁のLEDは等間隔で並び、ネジ穴は50mmピッチ。1Uラックマウントのため高さ40 x 幅410mm。Arduino unoとMAX7219は裏面にいずれもソケットを介して実装。

要求仕様にはなかったのですが、DCジャックを追加できるパターンを基板上に追加しておきました(過去の経験からUSB経由だと電源足りなくなることがあるので)。

納期は発注から4週間、納品で動作確認できたら検収、その後メッセージで2ヶ月程度のサポート期間を設ける、という条件でご契約いただきました。

費用は、えーと、ホテル一泊分ぐらいでしょうか(GoToなしで)。

3.設計

まずブレッドボードで動作確認です。3個直列にしたMAX7219でも信号波形などに乱れがないことなどを確認します。

でかいので右側省略

設計は例によってEagleです。1辺の長さ410mmというのは私としては過去最長です。回路設計ができたところで顧客に送って確認してもらいます。その間にアートワークです。

DIPですし実装密度も低いので、電源をドーンと引いてから高速の信号線を貼り、それ以外は自動配線で調整しました。銅箔勿体ないので裏表GNDベタ貼りでベタが入らないところはVIAでコツコツと潰していきます。配線数少ないのですが、Eagleの自動配線って面積に比例するんですね……最適化=HIGHだと、開始してから食事に出てもまだ終わっていなくてびっくりしました。そしていつも思うけどネジ穴邪魔だわ。倉橋屋では顧客からいらないと言われない限りネジ穴を開けるのですが……部品と比べてデカいんですよね。

でかいので略

できあがったところでPCBWayに発注。今回他の案件とまとめたので送料が少しは安くなったのですが、それでも基板10枚と送料で約8000円でした。それでも24時間で出荷されるから大したもんです。DHLで深圳から5日で到着。ちなみに同じ日にDigiKeyにも注文を出したのですがアメリカから3日で届いて現代文明とても怖い。

4.実装確認

届いた基板、でかくて重いです。銅箔35μ両面ってこんなに重いんですね……。はんだ付けして動作確認します。当然一発動作。各所の信号をシンクロで確認して十分な動作マージンがあることを確認します。


それにしてもデカイ。でかいけど、これだけ並ぶとかっこいいですわ。

5.納品と動作確認

納品したものをクロネコヤマトで発送して動作確認していただき、検収となりました。

中身がでかいと箱もでかい。手元にたまたま丁度良いヨドバシの箱があったのですが……これが80サイズを1センチ越えてしまって……泣きながら送料を払ったのは良い思い出です ^ ^

冒頭に書きましたように、12月25日にご契約いただき、1月8日に先方に到着しました。

以上です。

以上、技術的な難易度は何もありませんし、MAX7219とLEDを組み合わせた基板はaitendoなどでも安く売っているのですが、左右に耳がついていて密着できなかったりで制約があります。

こういう技術的には難しくないけども、市販にないサイズ・形態のものが欲しい、という場合は比較的低価格で提供可能ですのでぜひご相談ください。

ココナラは手数料が高い(25%)のでクラウドワークス(20%)またはTwitter @TareObjects へご相談いただけると嬉しいです。

ココナラ    :倉橋のプロフィール / 製作相談

クラウドワークス:倉橋のプロフィール

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この他に、「電子工作のキットなどをきちんとはんだ付けして組み立てます」っていうサービスも提供しているのですが、何故か現在故障修理品の依頼が多いです……私ら電子工作勢の家にはハンダゴテがゴロゴロしていますけども、普通のおうちにはないですもんね。折れた端子をちょこっとはんだ付けして送り返すだけなら、メーカーのサービス窓口よりも安く直せると思いますので、ご相談ください。

「ラズパイで使いたいけど拡張基板のピンヘッドだけはんだ付けして欲しい」なんてのも大歓迎です。慣れないと、はんだ付けが悪くて動かないのかソフトに問題があって動かないのか切り分けに苦労しちゃいますけども……少なくともうちでははんだ付け不良ゼロで組み立てますので、ソフト技術者の方はソフト開発に集中していただけます。

自動噴霧器:費用感からの案件相談→設計製造受託

【追記2021年3月1日】

おかげさまで、ココナラ プラチナランクを獲得しました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【追記ここまで】

 私こと倉橋屋では、ココナラ / クラウドワークスを使って電子デバイスの製作相談を受け付けています。

なにか装置が必要な場合に、それが1万円でできるのか、それとも100万円かかってしまうのか、まったく見当がつかないと業者さんにお話をするのにも不安です。

そこで、ココナラでは実現可能性も含めておおよその実現方法と費用感、あと簡単な仕様書をお作りするサービスを行っています。仕様書を作成してから、実際の製造につながることも多いです。先日完了した案件を例にご紹介させてください。

1.可能かどうかの相談

まずこちらのページの「見積・カスタマイズの相談をする」から、どういうことをやりたいか、おおよそのお予算感をご相談ください。

マイコン応用製品の開発相談受け付けます

この段階では、実現可能性についてお答えします。この段階で技術的・あるいは予算的に難しい案件については、ここでの無料相談のみで終わりとなります。無料なのでどうぞお気軽に。

可能性のある案件についてはサービスをご購入ください。5000円です。

■実例:相談■

Arduinoを使って一定の時間ごとに噴霧する装置を作りたい。ソフトはある程度わかる。回路設計と基板製作とソフトをお願いするにはいくらぐらいかかるでしょう?

■回答■

市販の電池式噴霧器を改造するのが良いと思います。数万円、1ヶ月程度で対応可能です。

2.相談サービスご購入

電源の供給方法、噴霧の方法(頻度、噴射時間、最大回数など)、表示方法(LEDの点滅で待機中・噴霧中・噴霧回数超過などを表示)、最大回数などの設定方法をメッセージでやりとりしながら決めていきます。

最終的に提示した設計書がこちらです。


自動噴霧デバイス外見仕様書

作成者:Koichi Kurahashi(倉橋浩一)

作成日:2020年11月19日 v1.0

定義:

本装置は市販の電池式噴霧器を駆動して自動的に消毒液を噴霧する。装置全体を自動噴霧器と呼び、制御部分を制御基板と呼ぶ。装置全体=電池式噴霧器+制御基板+モバイルバッテリ+配線にて構成される。噴霧には電池式噴霧器に改造を加えたものを使用し、本装置から約5V 1A程度の電流を一定時間供給することで噴霧器に内蔵されたモーターを駆動する。人感センサーを搭載し、人を検知しているときには噴霧しない。

納品成果物:

  • 自動噴霧デバイス外見仕様書(本書)
  • プログラムソースコード
  • 制御基板ハードウェア回路図、同プリント基板設計図、同部品表(Autodesk Eagleを使用)
  • プリント基板10枚、うち1枚は実装し動作確認済
  • サンプルバッテリー1個
  • 上記の部品調達、組み立て、プログラムを修正するためのアドバイス
  • 納品物には電池式噴霧器は含まれません。

納期・保証期間

  • 受注確定後6週間以内に試作品と基板を納入
  • ただし想定外の仕様や調達上の問題により遅れが生じそうな場合には双方協議の上対応する
  • 故障等
    • 納入後3ヶ月間の開発側の問題による破損はセンドバックによる無償修理。
    • 納入後3ヶ月間の利用側の問題による破損は基板1枚を送り返してもらい3000円で1台製造して返送。
    • 原則として修理ではなく新品を1個製造する形で対応します
    • 納入後3ヶ月経過後は「製造依頼」として別途お見積りとさせていただきます。
    • 物品送付における送料は双方元払い
  • サポート
    • 納入後3ヶ月間はココナラのメッセージにて対応します。

担当外

  • 電池式噴霧器の調達、選定および改造はご自身でお願いします。
    • あまり大型のものはモバイルバッテリの性能を越えてしまうので単3電池4本タイプをお勧めします。

外部との接続

  • モバイルバッテリ:USB - DCプラグ内径2.1mmケーブル
  • 噴霧器:ターミナルアダプタ2P(+とー)の導線を接続
  • 人感センサー:ピンヘッダ3P(5V, GND, 信号)にセンサーを直接または約0.7mm単芯導線にてセンサーを接続。
  • 状態表示LED:ピンヘッダ2P(+とー)にLEDを直接または約0.7mm単芯導線にてLEDを接続

基板上の要素

  • ・マイコンモジュール(Arduino Nano互換品を使用)
    • USBレセプタクルとUSBシリアル回路と保護回路
    • PCとUSBを接続してプログラム書き換えが可能
    • 自動噴霧器としての動作中はUSBでモバイルバッテリを接続して電源供給する
  • 改定前・噴霧時間設定スイッチ
    • ロータリーDIPスイッチにより設定する。
  • 改定後・噴霧時間・強度スイッチ:
    • ロータリーDIPスイッチにより設定する。
    • 1-5 : 2秒で強度1-5、6-0 : 4秒で強度1-5】
  • 噴霧間隔設定スイッチ:ロータリーDIPスイッチにより設定する。
  • 追記・噴霧回数設定スイッチ:ロータリーDIPスイッチにより設定する。
  • 噴霧器駆動回路と保護回路と接続端子
  • 人感センサー駆動回路と接続端子
  • 改定前
    • 補充ボタン
      • リセットボタン兼用・押すと再起動して噴霧回数をリセットする
  • 改定後
    • リセットボタン……注記:補充は動作確認ボタンの長押しにて実施】
  • 動作確認ボタン(押すと即座に噴霧する)
  • LED駆動回路(電池切れ / 噴霧回数超過警告ランプ)

制御要素

  • 電源接続で自動的に動作を開始する。噴霧回数を読み取り保持する。噴霧1回ごとにカウントする。
  • 動作中のLED表示は以下の通り
    • 噴霧回数に余裕がある場合:3秒ごとに0.1秒間LEDを点灯させる。
    • 噴霧回数が設定を越えた場合:1秒ごとに0.1秒間LEDを点灯させる。
    • なお噴霧回数が設定を越えても噴霧動作は通常通り続ける。
  • 噴霧間隔スイッチから時間間隔を読み取り一定時間ごとに噴霧を開始する。
    • 動作中に変更した場合には常時スイッチを読み取り、設定秒数がその時点での噴霧間隔を下回ったら随時噴霧する。
    • 噴霧を開始時刻になったら人感センサーを読み取り、もし反応があれば開始を遅らせる。
  • 噴霧開始時には噴霧時間設定スイッチから秒数設定を読み込み、その秒数だけ噴霧器への電源供給を行う。
  • 動作確認ボタンを押すと人感センサーを無視して噴霧する。
    • ちょい押し - 設定秒数だけ噴霧モーターを駆動する
    • 長押し - 押している間だけ噴霧モーターを駆動する【加筆:同時に噴霧回数カウンターをリセットする】

以上、簡単なものですが、一応、他の業者さんに依頼しても作れるような仕様書を作成しますが、本件はそのまま私のところにご依頼いただけることになりました。なお、加筆箇所は仕様合意後に発生した不明点のすり合わせの結果、変更された仕様です。

3.実際の製作依頼

再び マイコン応用製品の開発相談受け付けます の「見積・カスタマイズの相談をする」から案件名とお送りした仕様書ファイルを添付していただきます。

ここで改めて納期と金額をこちらからご提案させていただき、合意いただいたらサービスをご購入いただきます。今回は、お見積金額から上の相談料5,000円を差し引いた金額でご契約しました。契約額は、えーと、ホテル一泊分くらいでしょうか ^ ^

ココナラは手数料が高い(約27%)ので、お客様側で購入可能なものは購入して送っていただくこともできますし、こちらで揃えることもできます(その場合は手数料が加算されます)。また、完成後の製品については、着払いで発送させていただいております。

さて、あとは進捗報告や不明な点を確認しながら設計を進めます。今回はお客様自身が実装されるとのことなので比較的大きな部品を中心にしました。基板はEagleを使って設計し、今回は中国深圳のPCBWay社に依頼しました。シルクもきれいで出図から24時間以内出荷なので最近愛用しています。私みたいな週末メイカーだと土日に設計して次の土日に物が届いているのはとてもありがたいです。

動作確認用に届いた基板に実装します。ここで使っているArduino nanoはmicro USBのついた中国製互換品です。


噴霧時間、強度と間隔、最大噴霧回数などはロータリースイッチから設定します。リセットスイッチはArduinoのリセット、テストスイッチは押している間だけ噴霧して、例えば噴霧強度を設定することができます。モータードライバに短絡保護などが内蔵されており、バリスタで逆起電力を吸収していますが、モーターの加減速はPWMでスロープ制御にしています。手前のLEDは動作表示、PIRは人が近くにいるときには噴霧しないようにするためです。プログラム的には状態遷移を1個のモードフラグで制御し、10mSecのループでタイミングを制御しています。インタラプト / インターバルは使っていません。

現在何回噴霧したかはEEPROMに記録していますので、電源を切った後でもカウントが失われることはありません。

鉛フリーはんだを使用して手ハンダ実装です。動作テストはこんな感じで。一応USBからも給電できますが、200/500mAしか取れないのでモーターには不向きです。ACアダプタから7-12Vの電源を供給することもできます。

ああっ 写真にも抜け毛がっ

4.納品

動画で動作を確認していただいた後、この完成基板と未実装基板10枚をセットにして発送しました。またファイルとしてEagleのschとbrd、PCBWay向けのガーバー一式、プログラムのソースを添付ファイルとしてココナラ経由で納品。到着後1ヶ月のサポート期間中に組み立てや変更に関する質疑応答を承ります。

こんな感じです。マイコンでちょっと制御したいものがある方、どうぞお気軽にご相談ください。

上の装置は1台のモーターを一定間隔で自動的に動かすのに手頃で便利かと思います。噴霧器以外の用途に使いたいという方はココナラ(倉橋のプロフィール)もしくはクラウドワークス(倉橋のプロフィール)もしくはTwitter @TareObjects まで、お気軽にご相談ください。