2021年4月28日水曜日

Thermal Seek Compact買いました

 今までM5Stackの簡易版で何とかやってきたんですが、もっと高性能高解像度のサーモグラフィーがあればリワークなどの際に対象位置の温度を正確に把握できて修理品質があがる!

てことに今更ながら気付いてですね。

買いました。まぁ、わりと強力な電源とちょっとした電源、2件の開発案件が来ていて、その検証用に使えば元が取れますし。

スマフォ対応サーモグラフィーとしては「FLiR」が有名なのですが……これはAmazonのレギューを見ると正規品・1年保証であっても、「正常に使っていれば壊れるはずがない。故にお前の使い方が悪いのだ」というスーパーロジックで修理拒否される、という感じなので、欲しいけど壊れたら……と手が出せませんでした。

FLIR(フリアー)【国内正規品】iPhone/iPad用 FLIR ONE Pro LT版 4800画素 1年保証 赤外線サーモグラフィ

と、煩悶していたところ先輩氏から「Thermal Seekも良いぞ」と教えていただいて。今まで全然知らなかったのですが、とりあえずレビューに悪いこと書いてないですし(重視)、値段も手頃なので購入しました。FLIRのウリであるスマフォのカメラで撮影した可視光画像と重ねる機能はないんですが、こんだけ解像度高ければ、チップ部品も把握できるじゃろ、と。

【国内正規品】Seek Thermal シークサーマル Compact iPhone/iPad用 サーモグラフィーカメラ 赤外線カメラ

で、到着して5日、やっと開封して使ってみました。iPhone 12 miniに取り付けると、「アプリがねえよ」と言われ、App Storeへ行けばそのままインストーラーが起動する。全然探したり迷ったりする手間もなく起動します。


私の中の小学生はとりあえずマグカップを撮影したりしていたのですが、おおっと思ったのがこの写真。お仕事中のiMac 5kにカメラを向けてみた画像です。


上の方はiMac自身の発熱だと思うのですが、中央付近、巨大なウンコのような物体が左側の手を上げているのがおわかりでしょうか。モニターの前の私です。反射した像がそのまま写ってるんですね。

表面温度を捉える、という意味では、どーなの?という気もしますけど、反応速度や感度はとりあえず問題なさそうです。

キーボードの奥にあるマグカップを撮影したのがこれです。マグカップが温かいのはあたりまえですが、その手前にあるキーボード、ホームポジション付近がほんのり緑色になっているのがおわりいただけるでしょうか。


駅のベンチなどで他人の体温を感じるのは微妙に不快だったりしますが、これがあれば事前に観察して冷たいベンチにだけ座れます(何の意味が)。あと、フローリングで立ち仕事した後なんかもはっきり残りますね。

いやー、おもしろいわー。

あ、もちろん本来の目的である電源動作確認なども進めます。どうぞよしなに。

2021年4月6日火曜日

ニキシー管時計修理:破損したIN14の交換

ココナラ経由でのご依頼で、左から2桁目だけが数字の一部分しか表示されないとのこと。


この時点での予想は桁ドライブ回路の損傷かニキシー管の劣化でした。点検作業を発注の上送っていただき、分解点検するとセグメントを駆動する回路は3桁共通で桁を駆動する回路は2桁ごと、というおもしろい回路。共通する他の桁 / セグメントと波形を比較してみるとまったく同じで異常なし。ということでニキシー管の劣化が原因と診断して、修理費用と期間をお見積り。うちにはIN14がないのでロシアかウクライナから仕入れる必要があるので期間は長めになりました。

お見積りに同意いただいて受注。

まさにそのタイミングでTwitterで知人から各種ニキシー管譲渡の打診が!

おかげで良質の管を1週間で入手できました。

さて、修理です。


まずIN-14を外す必要があります。13本のハンダを吸い取ってピンを抜く作業……考えただけでうんざりなのですが……私にはFR-400という強い味方が! 

白光 はんだ吸取器 FR-400

300Wのステーション型ハンダ吸取機なのですが……パワーもさることながら、ポンプで一定以上の圧力に下がってからバルブが開く構造なので、一気にハンダが吸い取られスルーホールがつるっつるになります。

今回の修理でも、ピンにノズルを当てて熱が十分浸透したところでピンを動かすようにしながらトリガーを引いて吸い取るx13、この時点でもうニキシー管はグラグラで1本にハンダが残っているだけでした。最後の1本にコテを当てて引っ張れば簡単に外れます。その間、約2分でした……吸い取り線や前に使っていたFR-301なら30分はかかっていたと思います。

さて、無事IN-14を外したあと、新しい(製造50年近いけどね)IN-14を刺して仮止めし、通電。正常に点灯することを確認しました。対角の2本を仮止めしてから、ピンをまっすぐに伸ばしてからカットします。真っ直ぐに伸ばすのは次に修理する人が困らないように。基板に沿ってピンを曲げると、はんだ付けは楽になるんですが、次にニキシー管を交換するときの作業が非常に困難になりますので。さて、全部はんだ付けをすませて、最初の仮止め2本をカットしてからきれいにハンダを盛ります。

動作確認、問題ありません(点灯確認のために「シュタゲモード」にして録画しスローモーションで再生しています)。


フラックスクリーナーで清掃して出来上がり、念のためにサーモグラフィーで発熱箇所などがないか確認してから梱包・発送しました。

いやー……FR-400、ワタシ的には清水の舞台から全裸で飛び降りるぐらいの勇気が必要な金額なんですが、買ってよかったです。商売道具には投資しないとね……。