2019年10月31日木曜日

3Dプリント:IPAの後始末

「洗浄に使ったIPAは日光に当てるとレジンだけ固まって再利用できる」

って本当ですか? うちは……濃いのはカッテージチーズ製造工場、薄いのもタッパーの周囲に膜が貼って大変な状態になりましたです。

陽に当てた直後

幕を取り除いてみた後

レジンのブランドなどによっても違うんですかね。

ともかく、タッパー2個廃棄っす。100均だけど。


IPA 1リットル600円、3プライのケイドライ1枚10円。一番お金がかからないのは以下のような手順かなと思います。日光にあてて固めよう、というのは考えない方がいいと思います。
  1. ニトリル手袋を両手に装着
  2. カード(トランプ)を使ってプラットフォームの雫をバットに落とす
  3. ケイドライとIPAでプラットフォームなどをさっと拭く
  4. 予洗タッパーのIPAでパラットフォームと成果物をじゃぶじゃぶすすぐ
  5. プラットフォームから成果物を剥がして、成果物を仕上げ洗浄タッパーのIPAに漬ける
  6. プラットフォームを一度拭いてから仕上げ洗浄タッパーですすぎ、乾拭きする
  7. 成果物を仕上げタッパーのIPAでよく洗う。私はシリコンゴムのついたピンセットとプラモ用の平筆を使ってます。
  8. ピンセットでもちあげた成果物を新IPAでさっと流し洗い。雫は仕上げタッパーへ。
  9. 成果物の雫をよく切り、キムワイプの上で乾燥。ここで拭くと傷が付きます。乾いたら後硬化。
  10. 筆やピンセットを拭き取る
  11. 新IPAをケイドライに染み込ませて、タッパーの外側、筆、ピンセットなどを拭き取る
  12. 道具類を全部仕舞ってから、手袋を裏返しにして脱ぐ。次に使うときはちょっとひっくり返してから空気を送ると元どおり。2回使ったら捨てる。
あと、予洗タッパーのIPAが汚れたら所定の方法で捨て、仕上げ洗浄タッパーのIPAを入れる。仕上げ洗浄タッパーには新品を入れる。

繰り返します。IPAに日光をあてて再利用なんてことは考えない方がいいです。

2019年10月29日火曜日

3Dプリント:サポートなしの天井

うっかり天板をつけたままプリントしてしまいました。サポートなしです。



出てきたのが、これ。データ上で天板の厚さ1mmなんですが、天板の下面はぶよぶよで剥離したり大変なことになっているんですが、上の方はだんだんリカバリされていて、最後に出力された表面はほぼ平面になっています。指定した楕円穴や円、硬化させたら崩れてしまいましたけど、出力したてはもうちょっとはっきりした形でした。

側面にUSBなどを通す穴をあけているんですが、円はもちろん、角丸(round rect)でもきれいに出力されていて、サポートのボツボツの方が目立ちます。

さすがに平らな天板にはサポートつけないとダメですが、緩やかなフィレット があれば、ある程度いけちゃいそうな感じですし、壁の窓についても小さなものなら角にフィレット をつければ出力されます。

おそるべし、SLAプリンタ。

3Dプリント:レジン液さんお疲れ?【追記】←間違い

左:前回ロット 右2つ:最新ロット

稼働率向上とレジン液節約のため、バットの清掃とレジン液補充なしに使い続けたらどうなるか試していました。

200ccほど入れたレジンが目視で半分になる程度まで、使い続けてみたところ、写真のような亀裂が入りました。縦方向に入る泡のような線と違い、ここは完全に割れていて水が漏れます。硬化条件は同じなので、たぶんレジンが劣化するか組成が変わって硬化しにくくなっているのではないかと推定しています。【追記】この件、ビルドプレートが降りる時に周りが囲まれていると圧力が逃げ場を失って破裂する、という現象のようです。野村さん、ありがとうございます! 圧力を逃がす穴を空けたら亀裂入らなくなったんですが、穴開けたくない場合はどうしましょ問題が残っております。【追記終わり】

とりあえずバット底のFEPフィルムに損傷がないことを確認してから、レジンを100ccほど補充しました。レジンの一一滴の一滴(1ccで10円)。

2019年10月28日月曜日

3Dプリント:ゴミの始末

作品名「事後」(命名thalion氏)
最初にプリンタを使った後始末にはキムワイプ10枚ぐらい使っていましたが、慣れてきてバットを掃除しない場合はケイドライ1枚で済むようになりました。

ニトリル手袋は右に新品、左は一回使ったものを再利用します。

で、すべて終わって手袋を脱ぐときに左手でゴミを握ってひっくり返して脱ぎ、口を結ぶと密封度の高いゴム処理一丁上がりです。

なんかコンドームみたいで懐かしい(隠居)。

3Dプリント:TWELITE Switch Pal用ケース




これはver 2。ver 1は直方体でしたが底辺が広がってしまったので底の4辺だけフィレット つけてみたんですが、逆効果でへんな形になってしまいました。難しいです。

蓋はver 1ではぴったりとスナップ感があったのですが、ver 2で少し厚くしたらハマってくれません。難しいです。

そして、ver 3。完璧っす(当社比)。


2019年10月27日日曜日

光造形プリンタの癖

液晶と平行に作った「板」はあまり収縮しないのですが、空洞は縮みますね。

ラズパイケース、一見うまく行っているのですが、直方体の垂直面を拡大するとこんな感じ。下手な写真ですみません。上に乗っているのは蓋として別に出力したものです。



設計は幅62.000mmですが、平面の部分は62.12mm、一番縮んでいるところで61.58mmでした。平面の部分は少し太り、縮むところは1%弱縮んでいます。

平面部分はプラットホームを安定させるために長時間露光するので、隣接するレジンも反応してしまったのでしょうね。

今回垂直に立ち上がったデザインですが、底面にもフィレットを入れてやればある程度緩和できると思います。胴体部分についてもサポートを入れるか桟をつけたりすれば改善できそうです。

試すことが色々ありますわ。

ラズパイケースはこんな感じになりました。Raspberry Pi Zero WHと標準サイズの拡張基板を重ねた状態で取り付けられるようにしています。



ダウンロードして縮小してから出力したオブジェは細かいところが脱落したりで出力ごとにFEPを掃除してVATを洗浄しレジンも濾過する必要があったのですが、こういう芸のない箱だと剥落する要素がないので、上下するプラットフォームだけ洗浄してVATは取り付けたままにできるのでだいぶ楽です。あとVATを洗うと毎回レジンがかなり無駄になるので、それがなくなるのは助かりますわ。

Orange 30には予備のVATは付属しているのですが、プラットフォーム部分の予備もあると出力後にプラットフォームだけ交換してすぐ連続出力できそうな気がします。

2019年10月26日土曜日

ラズパイケース試作(3Dプリンタ)


勤務先のちょっとした課題用として、Fusion 360でラズパイケースを作りました。Zero WHにフルサイズの基板を乗っけるケースなので、ネジ穴は段違いにして、ケースの蓋も出力。外装の厚さは2mmで蓋と本体を別にしました。底面はサポートなし、窓だけサポートを入れました。

0.05mmスライス12秒の設定で本体4時間、蓋30分でした。使用したレジンはこちら。無臭と書いてありますが、硬化前はアルコールのような匂いがしますし、硬化中の匂いは他の製品とあまり変わらない如何にも身体に悪そうな匂いがします。

奥行が出力限界ギリギリだったので心配していたら、案の定壁が一つ出力されませんでした。はっはっは。上の写真手前です。はっはっはっは。

あと、窓もない単純な垂直な壁にしたのがいけなかったのか、ギザギザの傷があります。収縮した歪みが集中したんでしょうかね。さすがのSLAとはいえ、透明レジンで垂直の壁、積層痕が見えます。



蓋は噛み合いを1mmにして、内寸は0.05mm小さくして出力しました。タッパーみたいにしっとりとハマり、逆さにしても落ちません。今回唯一成功したポイントだな、これ。

ただ、これは多分に怪我の巧妙で、計測すると平面として出力した底面と壁部分とでは幅が少し違っています。幅は設計では75mmでしたが、出力は底面75.4mm、壁部分では74.4-74.8mmでした。




反省点

  • レジンは振ってから注げと取説にあったので振ったら泡まみれになりました。トランプで寄せて除去しましたが、30分ぐらい放置しておけば消えますね。
  • 出力限界-2mmで出力したら片側に寄って枠からはみ出した分が出力されなかった。出力前に要確認
  • 短い方の足の設定が間違っていてうっすらとしか出力されてない。断面解析で足があることは確認したはずなんですが……なんででしょう。

2019年10月24日木曜日

空調工事


うっかり寝る前にSLAプリントを始めてしまった。臭いけど窓開けたまま寝るわけにはいかない。排気だけでもなんとかしないと寝られない。

ということで、フレキシブルエアダクトと半田付け作業用フィルタで排気ダクトを作りました。ダクトとFA400の固定には、エアダクト用フランジとクランプを使っています。



やっつけ工事にも限度というものがある。

せめてダンボールで枠を作らないと……。

SLA方式3Dプリンタ Orange 30到着っ!


最初にKickstarterでFDM方式の3DプリンタTiko(その後破綻)を出資してから約5年。Tikoを諦めてKodamaに出資したもののそれも破綻。3台目の正直でついにようやく3Dプリンタを入手できました。FDMじゃなくてSLAですが。


組み立てで一番時間がかかったのはアクリル板保護シートを剥がす作業でした……。難しい作業もアクリルカバーの組み立てですが、ジグにアクリル板を立ててシリコンゴムの輪ゴムをはめるだけなので器用な人なら一瞬で終わると思います。


3Dプリンタの鬼門であるレベル調整はVATのネジをしっかり締めてから、ネジゆるゆるで取り付けたプラットフォームを下ろし、紙一枚挟んで押し付けた状態でネジを締め直すだけです。5分もかかりません。あとはレジンを注いで、カバーをかぶせ、USBメモリーに入れたデータを読み込ませスタートボタンを押すだけです。なんかタッチパネルの反応が鈍くてグリグリ押さないと反応にぶいですが。



出力一発目はLongerのWebに公開されていた寺院と犬のモデルをサポートなしで出力しました。寺院はもともと大きなモデルを縮小したものなので見事に失敗しましたが、犬は完璧です。

ただ、紫外線硬化したら見事に黄ばんでしまいました。



でも、1日経過後、少し黄ばみが薄れたような気がします。漂白すれば、塗装などしなくても良さそうな気がします。

次にニキシー管時計の足を出力してみました。基板を斜めに固定してネジ山を切っているものです。これも紫外線硬化で黄ばんでしまいましたが、ちゃんとネジとして作動しました。ただ、レジンが縮小しているので、長いネジだとズレが大きくなるかもしれません。今回長さ5mmだったので、タップを切り直したら問題なく使えました。



表札もいい感じです。100umスライスで表面もツルツルで漢字のエッジも滑らかです。

その後、植木鉢と寺院をサポート付きで出してみたのですが、見事に失敗しました。Facebookでお友達のN村さんに相談したところ「露光時間を伸ばすとええだよ」とのことだったので、6->12秒にして再々挑戦、今度はうまくいきました。


なお、寺院の五輪?みたいなものはきちんと出力されてはいたのですが、洗っているうちに取れてしまいました。縮小したモデルだったので細すぎたのですね。あと、植木鉢の球状になっている部分の下側=成長していく側は少し荒さが目立ちます。


サポートを取り外した跡はやはり少し目立ちますね……加工能力のない私はなるべくサポートのいらない形状で生きていくのが良さそうです。

最後に、プリンタ以外に買ったものと家にあるもの。
塗料カップ以下を使い捨てたとして、カップ46円+フィルタ26円+手袋12円=84円です。カップもフィルタももちろん何度も再利用できます。

塗料用カップホルダ+カップ+使い捨てフィルタ

フィルタは50枚入りを買ってしまったんですが、最初の1枚を5-6回使っても全然劣化した様子がありません。どうしましょ……安いものなので小分け販売しても送料の方が高いですし……しくしく。

「SLAは綺麗だけど強度がない」というのが定説なのでどんなふにゃふにゃが出力されてくるのか戦々恐々としていましたが、紫外線硬化後であれば時計の足のようなものはしっかり重量を支えられますし、犬のようなものは適度な弾力があって普通のプラスチックに期待できる程度の強さはあると感じています。でかいものでなければ十分実用になります。

ようやく入手した3Dプリンタ、バンバン使っていこうと思います!

2019年10月8日火曜日

マイクロチップBluetooth評価キットRN-42-EKの不具合


RN42はそれ単体で簡単なスクリプトを実行することもできるので、ちょっとしたセンサーネットワークを作るのに便利そう。

ということで、USBシリアルの乗った評価キットと、ブレイクアウト基板を購入しました。
マイクロチップ Bluetooth評価キット RN-42-EK
RN4020使用 Bluetooth Low Energy モジュール

が、チュートリアルにある「SR,92000000」「SR,32000000」がERRになってしまいます。調べると、このコマンドは新しいファームウェアでないと対応していない様子。

Windowsを起動してアップデータをダウンロードしてみたのですが、エラーになります。

秋月のサイトをみると、「電源にパスコン入れてみろや」とのことなので、はんだ付けしてみましたが、同じ。

47u MLCCは3225しかないので22u電解付けた。でかい。

同時に購入したブレイクアウト基板は問題なくアップデートでき、アップデート後はSRコマンドを実行できました。

秋月のこの評価キットに搭載されているRN42は、古すぎてMicrochipが提供しているアップデータに対応していないのではないかと思われます。Vコマンドでバージョンを表示すると
Ver 6.15 04/26/2013
(c) Roving Networks
って出てきます。アップデートできた方は
MCHP BTLE v1.23.5 8/7/2015
です。Roving NetworksはMicrochipに買収されたとのこと。

とりあえず、秋月さんに対処方法を質問中。はんだ付けしちゃったので返品は無理ですので、何らかの解決策が提示されると良いのですが…。

【追記】秋月から回答がありました。動かないけど知らんよ、ってことですね。
秋月電子通商 M川と申します。
この度はご迷惑をおかけし申し訳ございません。
[K-07378]RN-42使用 Bluetooth無線モジュール評価キット
下記リンク先(Microchip社)に掲載のとおり、6.15以前のファームウェアはアップデートに対応しておりません。
https://microchipdeveloper.com/faq:2838
以上、弊社としての回答です。
Blue Suite等のソフトウェアを使用しファームェアを書き換えする方法も非公式であるようですが、詳細はわかりかねます。検索エンジンで「rn-42 blue suite」等の語句で検索すると何か情報が得られるかもしれません。
この度は具体的な回答をできず申し訳ございません。

2019年10月5日土曜日

松尾ハンダの鉛フリーハンダクリーム

自然光源+USB顕微鏡だとこんな感じ

買った直後に試してそのまま冷蔵庫に仕舞いっぱなしでした。その時にブログ書いてなかったのですが……ふと見たら期限切れ直前なので、ちゃんと写真取りつつ記録します。

なお、 中華製鉛フリーハンダのレポートはこちら(中華製鉛フリークリームハンダ)です。

■前提条件■

基板はJLCPCBで作った金フラッシュ基板とステンシル、TSSOPの245を3個のっけてみます。リフロー炉はAliExpressで買った熱風+赤外線式。100V仕様なので昇温遅い。これから買う人はぜひ日本製昇圧器と220V仕様のリフロー炉をお買い求めください。


■スキージング■

写真撮る前にIC4を載せてしまいましたのでIC2とIC3スキージング。微妙にズレてしまいました……。




■マウント■

マウント後です。






■リフロー後の仕上がり■

そして、リフロー。予熱A150度1分、予熱B190度30秒、溶解250度5秒です。予熱2段階のうち予熱Aは熱風のみなので少し長めにしています。ペーストの僅かなズレの影響は残っていません。なお、IC3はブリッジしているのではなく未使用入力端子をGNDに落としているためつながってます。





CCDカメラだと凸凹に見えてしまうのですが、顕微鏡視野ではツルンとして美しいです。別のUSB顕微鏡で自然光で撮影したものが冒頭の写真です。冷却が遅いので少し結晶が見られますが、きれいな仕上がりかなと思います。

■松尾ハンダについて■

松尾ハンダを購入するには、お問い合わせページから利用目的(ホビーストで自宅でリフローしている。精度はこのぐらい云々)を書いて申し込むと折返し営業の方からのメールが届きますので、フラックスの種類などを相談して注文します。私は「FLF01-BZ 500g」をお勧めいただきました。決済は銀行振込かヤマト運輸コレクト便を選べます。

私と同じものでよければ、型番と決済方法を書いてお問い合わせページに記入すれば、営業の方の手間が減るかもしれません。

松尾ハンダさん、アマチュアが使いそうなやつ1-3種類で良いので、Webから100g単位で購入できるようにしていただけませんか? PayPalのカートなら手数料も安くて簡単ですし、例えば「発送は週一回月曜日にまとめて出荷する」だけでも結構です。

メイカーは良質のクリームはんだに飢えていますので、少なくとも損はしないと思いますのでご検討いただければ幸いです。

■実体顕微鏡その他の雑談■

Eakinsの実体顕微鏡CCD、相変わらずボケてますね。基板を傾けると良くなるので、非常に被写界深度が浅くて右と左でピントが合わない、ってのもあるんですが、乱視みたいに全体が荒れている感があります。撮影はUSB顕微鏡の方がいいっすね……。

関係ないが我が家のリフロー炉の前には腹筋台があるので、観察しながらトレーニングが可能だマッスル。

2019年10月3日木曜日

ステンシルプリンタの精度向上

今までスキージングの際には、塗布時のヘラの動きでずれないようにステンシルのフレームにテンションをかけた状態で作業してました。でも、時々、どうしようもなくズレるんですよね……それも基板上で均一にずれるのではなく左端はあっているけど右端だけ0.1mmぐらい左に寄る感じで。

ふと思いついてステンシルの上に照明付きのミニ顕微鏡を置いてみたら、非常にいい感じで観察できました。いろいろな方向に力をかけながらズレを観察した結果、

  • ヒンジ側から離れる方向にヘラをこすってもズレない
  • ステンシルフレームにテンションをかけると盛大に左右方向にズレる

と判明しました。

なので、比較的大きな基板でテンションをかけないず、ヒンジから引張方向にだけ動くようにして試してみた結果は非常に良好でした。

やっぱり精密に観察しながら実験しないと駄目ですね……。