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2021年10月19日火曜日

JLCPCBで基板を作ろう! - (1) 注文方法

二度のPCB A不良(BGA短絡)と納期遅延(基板実装5-6日の予定だったのものが基板完了後10日間放置状態)が続いたことについてクレームを入れた後、新しい注文を入れることができなくなりました。クレームとの関連等についての問い合わせにも回答が得られていません。残念です。

JLCPCB様、今までありがとうございました。加筆:2026年7月27日

※この原稿はJLCPCB社からの依頼により執筆しています。依頼だからといって手心は加えていないつもりですが、その旨、ご承知おきください※

■はじめに■

先日私引っ越しをしたのですが、40年前、社会人として仕事する前のバイト時代のお仕事メモが出てきてしまいました。知人の会社でZ80 CPUボードを作るお手伝いをした記録なのですが……A4サイズの両面基板で1枚28万円と書いてあります。当時は基本料金の他にスルーホール1個いくら、ドリル穴1個あたりいくら、という課金方式だったんですよね。回路図を渡してから2ヶ月ぐらいかかったような記憶があります。

それからさらに10年ほど前、自宅で塩化第二鉄で生基板をエッチングしてプリント基板を作っていました。廃液処理に悩んだもんです。

そして今。インターネット経由で基板を注文して、数千円で10日ほどで基板が届いてしまうのだから、びっくりです。21世紀ですねー(年寄りの感想)。

というわけで、2回にわたって、基板設計〜JLCPCBさんに基板発注〜届いた基板を評価〜実装……というあたりをお伝えしようと思います。

CADはEagleを使います。私が使い始めたころは結構高かったんですが……いまはFusion 360のおまけみたいになっちゃいましたね。時代は変わる。


■基板ですが■

今回作る基板は技術的にはそう難しくないけれど、同じものが繰り返しなのでできれば手で配線したくない、というタイプです。

24Vの信号入力が32本あって、それをフォトカプラで受けてラズパイに読み込むのですが、24Vの信号がプラスかマイナスかわからない(!)ので双方向性のフォトカプラを使い、ラズパイのI/Oも足りないのでMCP23017を2個使います。

作ることが決まったのが月曜日で、2週間後には現場に設置しなければいけない、という割と忙しいスケジュール。

現場で仕様を確認したのが10/4日、設計が終わったのは10/5日でした。

うちで基板を作る場合、だいたいこんな流れです。

  1. ブレッドボードなどで予備実験。DCDCなどシビアな回路の場合にはユニバーサル基板でプロトタイプを作ることもあります。
  2. Eagleで回路図を起こす
  3. Eagleでプリント基板を設計する
    1. 何はともあれERCで確認
    2. 各配線の太さなどを設定
    3. 「1点アース」を軽く意識しつつ、電流の方向を考えつつ部品を配置
    4. さっとAuto Routeを試してみる。ICの向きが間違っていたりすると無理な配線が生成されるので、間隔、向き、レイアウトを調整する
    5. ときどきDRC
    6. ある程度いい感じになってきたら、GND、大事な信号線(アナログや高速デジタル)を手動で配線します。簡単な回路の場合にはAuto Routeだけで済ませることもありますが、それでもGNDだけは手で貼っておいた方がいい結果になります。
    7. 残りのわりとどうでもいい配線をAuto Routeと手動で、Air Wireがゼロになるまで繰り返し
    8. 100%になったところでsch / brdファイルをコピー
    9. ベタGNDを配置してAuto Route
    10. 最後にもう一度DRC
    11. CAM Processorでガーバーを作る
  4. 一晩寝かせる
  5. 基板業者に発注する
  6. 届いたら実装する

という流れです。

今回は時間がないし単純な基板なので上記6なし。AutoRouteのみで作りました。


■ガーバーファイルを作る■

プリント基板はガーバーファイルで発注します。ガーバーファイルはCAM Processorで作ります。PCB屋さん各社、自社用のCAMを用意しているところが多いです。JLCPCBさんのEagle gerberはこちらから。お使いのEagleのバージョンに合ったCAMファイルをダウンロードして、所定のディレクトリに置きます。ファイルはレイヤー数ごとに用意されています。普通の両面基板なら2_layersです。

WindowsとLinuxについては記述がありますが、Macについては書いてないですね……Macの場合は、~/書類/eagle/cam/の下に入れておくとよいかと思います。あと、私のところではダウンロードすると.cam.txtという拡張子になってしまったので.camに修正します。

How to Generate Gerber and Drill Files in Autodesk Eagle

Eagleをbrdウィンドウに切り換えます。

ツールバーのCAM processorアイコン、あるいはFileメニューから「CAM Processor...」を選びます。


次に、Load Job Fileアイコン(フロッピーディスクアイコンの左)をクリック、Local CAM jobs >can > jlcpcb_2_layer_v9.camを選びます。




右のOutput Files一覧のTop Copper, Bottom CopperなどをクリックするとGerberとして出力されるファイルの中身を見ることができます。長方形以外の基板だとときどき外形が間違って認識されていたりするので、Board Outlineで確認します。あと、標準状態だとシルクにはNameしか出力されませんが、tValueも出力したい場合にはSlikscreeen Topを選んでLayers一覧の左下アイコンをクリックしてtValueを追加します。

確認して間違いがなければ、右下のProcess Jobsボタンをクリックします。数秒でファイル保存ダイアログが開きます。任意の場所・ファイル名を指定してSaveをクリックします。

Gerberファイルは通常はzipで圧縮されています。

以上で発注に必要なGerberは用意できました! 


■発注!■

ブラウザでjlcpcb.comをアクセスします。Sign Inからログインしますが、初めてのアクセスの場合には、Sign In → New Customer Start Hereからアカウントを登録してください。

私はGoogleからサインアップしています。


するとトップページの中断左側に「Add gerber file」のリンクがあるので、ここからさっき作った.zip形式のgerberファイルをアップロードします。数秒〜数十秒後、画面が切り替わり、さっき作った brd が表示されるはずです。

以前は寸法など手入力しなければいけなかったんですが、今はガーバーアップロードすると自動的に読み込んでくれるので楽になりました(しみじみ)。

さて、あとはPCB製造に必要な条件を入力していきます。

  • Base Material……基板の材質、普通のFR-4がデフォルトです。
  • Layers……ここはGerberを読み取って必要な層数が設定されますが、古いEagleの設定のままだと変わってしまったりするので念の為確認します。
  • Dimensions……基板サイズ、Gerberから読み込まれます。設定通りか確認します。
  • PCB Qty……製造枚数です。5枚でも10枚でもあまり変わらないから金額をみながら適当に……と必要以上に作っていると家の中があっという間に使わない基板でうまるので気をつけます。
  • Different Design……一つのガーバーに複数の基板が含まれている場合、申告します。カットなどの手間もかかることですし。
  • Delivery Format……ここはパネライズの指定です。1枚=1枚ならSingle PCB、自分でパネライズするならby Customer、JLCPCBにやってもらうならby JLCPCBです。JLCPCBを指定すると、縦横何枚並べるかを指定する入力欄が出てきます。
  • PCB Thickness……基板の厚さ、標準は1.6mmです。1.0mmとかちょっとオシャレです(※個人の感想です)。
  • PCB Color……レジストの色を指定します。緑が標準です。黒はつや消しでいい感じですがフラックスが目立ちます。白はもっと目立ちますので、ご自身のはんだ付け技術(あるいは洗浄技術)に自身のある方のみチャレンジしましょう。
  • Silkscreen……シルクの色はレジスタ色によって自動的に決まります。
  • Surface Finish……パッドの仕上げです。HASLはハンダメッキ、with Leadは共晶、LeadFreeは鉛フリー、ENIG-RoHSは無電解金メッキです。
  • Outer Copper Weight……外層(両面)の銅の厚さで1ozは35um、2ozは70umに相当します。通常は1oz = 35umで十分です。うっかり70umを指定して広いベタグラウンドを貼ったりするとはんだが溶けなくて大変ですので、ご利用は計画的にどうぞ。
  • Gold Fingers……いわゆるカードエッジコネクタを作り込む場合に指定します。
  • Confirm Production file……JLCPCBのエンジニアに事前確認してもらうか否か。慣れないうちはYesにしておくと、レイヤーの指定ミスなどを指摘してもらえるので安心です。
  • Flying Probe Test……製造後の導通チェック。チェックしてもらえるならやってもらった方が?と思いますけども、どうしてもチェックで基板に傷がついてしまうので、それを嫌う場合にはNot Testを選びます。
  • Castellated Holes……いわゆる端面エッジがある場合にはYES
  • Remove Order Number……JLCPCBの製造管理番号を入れないようにする場合はYESを選びます。小さく開いている場所に入るので私は気にしないです。

以上、選ぶごとに右の金額がその都度、変わっていきますので、金額を確かめながらいろいろためしてみてください。

私は今回、業務用の基板なので、100x85mm、5枚、緑1.6mm共晶ハンダメッキ仕上げ、すべてデフォルトのままで作ってもらいます。

仕方ないこととはいえ、送料の方が高いんですよね……。でも、冒頭書いたように昔は数十万円だったものが数百円、送料いれても数千円でできちゃうんだから……いやー長生きはするものでございます。

あとはSAVE TO CART、住所を入力したり、クレジットカードを登録したり、という海外通販おなじみの作業をして発注するだけです。

……未だに、発注ボタンを押す前にはつい祈ってしまいます。

数千円なんですけどもね……。

というわけで、以上、発注まで、でした。

■コメント欄について■

コメント欄にコメントできなくなってしまいましたのでこちらでお答えします。お取引のある商社さんに相談されるのがよろしいかと存じます。JLCPCBには発注しデーター承認後に支払う、というオプションがありますので、その際にPayPal支払いを指定して商社さんから支払ってもらい、発送先を商社さんにするとか……。あとJLCPCBには日本語達者なスタッフさんもいらっしゃるので、そちらと相談されるとか。

あるいは、ココナラかクラウドワークスにビジネスアカウントを登録していただければ、私が代行することも可能です。ココナラもクラウドワークスも請求書支払いが可能ですので、会社取引としては、ココナラ/クラウドワークスとの取引になります。ただ、これらは手数料が20-30%程度取られますし、あと私の手数料も必要です。

2020年7月27日月曜日

EagleでV-cutを指定してJLCPCBに注文する

*2020年07月29日 コピー手順を加筆しました。

V-cutは、端から端まで横断するV字の溝です。小さな基板を複数まとめて作り、実装が終わったところでポキンと折ります。スキージング回数は減るしpick&placeもまとめてできるし基板費用も安く済むので大変ありがたいです。

今までわたしは、Panel by JLCPCB、つまり1枚分の基板データを渡して、「あとは縦x枚、横y枚に割り付けてください」ってお願いするだけでした。

が、これだと同じ基板を複数作ることはできますが、異なった種類のものを同じ基板に割り付けるのは自分でやらないといけません。

ってことで、やってみました。

■コピー元のデータを用意する■

当然、Eagleを使って基板を設計します。今回は、秋月で売ってるGaN MOSFETブレイクアウト基板を2種類作りました。

■パネライズする■

出来上がったボードデータをそのままコピーしようとしても、部品番号が自動的にインクリメントされたりでうまくいきません。そこで、パネライズします。なお、パネライズしたあと、Saveしてはいけません。

パネライズはツールバーのオレンジ色の「Run ULPボタン」をクリックし、


検索欄にpaneと入力すると絞り込まれてpanelizeが残ります。panelizeをダブルクリックします。


これでtNames, bNamesが部品番号と切り離れた_tNames, _bNamesにコピーされます。

基板全体をGoup Copyし、SaveせずにWindowを閉じます(Panelizeした状態で上書きするとこの後の修正時などに掃除が大変)。

【追記07/29】全体のGroup Copyの際には 、以下の手順がオススメです。

  1. 表示LayerでShow Layersボタンを押して全レイヤーを選択
  2. 20 Dimensionだけを除外してOKボタン
  3. cmd+Aで全選択
  4. カーソル位置を原点にあわせて座標表示が0,0になるのを確かめてcmd+C
特に4番大事。これやるとペースト先で座標がずれません。え?知ってました? 私知らなかったです……。Windowsの方は適宜キーを読み替えてください。【追記終わり】


■新しいボードを作りペースト■

File->New->Boardで新しいbrdを作ります。回路schは不要です。

JLCPCBの場合、パネライズの最低サイズは70x70mmなのでこれ以上になるようにします。あまった部分に詰め込んでもいいですし、さくっとカットしてもいいです。

カーソルを原点に合わせてからcmd+Vでさっきコピーしたボード図をペーストし、正しい位置に置きます。同じものが複数必要ならば、正しい位置に必要な回数コピーします。saveします。複数の回路を組み込む場合は、パネライズとペーストを繰り返します。

基板の配置は、かならず碁盤の目のように縦横が並んでいないといけません。冒頭に書いたように、V-cutラインは端から端まで一直線に横切らないといけないからです。

■V-cutのラインを入れる■

アイコンからLineを選び、レイヤーとしてVscore、太さ0.5mmを指定します。太さは0でもいいですが、カットする幅が必要なのでカット幅がパターンやシルクをケズらないか確認する意味でも太さを指定した方が良いと思います。

端から端まで縦縦縦縦横横横……と線を入れていきます。なお、下の図で、下の方にやたらスキマが開いているのは、70x70mmというルールに後から気づいた(指摘された)からです……。 もともとの設計は60x50mmだったのですが、今回の基板、四隅の固定ネジの間隔は決まっているので、もったいないですが左右と下に余白を追加しました。なお、V-cutを依頼する場合、JLCPCBでは70x70mm、ALLPCBは80x80mmが最低外形寸法です。


■Gerber出力■

いつものCam processerを使ってGerberを出力しますが、いつもと違う点が2つ。processorによって違うかもしれないので、私がいつも使っているSystem Example -> Third Party -> OSH Park -> OSHPark_2_Layer.camを例に説明します。


まず、Gerber下のBoard Outlineには、Edit Layersのボタンから「Vscore」を追加します。これをしないとV-cut用に書いた線がgerberに出力されません。


Vscoreを追加すると、右の窓にgerber線が追加されます。


次に、Top Silkscreenでは、同様にEdit LayersボタンからもともとのtNamesを除外し、_tNamesを選びます。裏面にもシルクがある場合も同様にbNamesを除外して_bNamesを選びます。

あとは、Process Jobをクリックすれば、.zipが出来上がります。

■発注時の注意■

JLCPCBに注文を入力する際に、何種類のデザインが混在しているか、を忘れずに選びます。Different Designを2以上にすると自動的にDelivery Formatが「panel by Customer」に切り替わります。


あとは、いつものように発注しましょう。

あ、パネライズ初体験の場合は、チェックアウトの3.Submit Orderのところで「Review Before Payment」を選んだほうが良いと思います。私もやらかしてキャンセル→再注文になってしまいましたので……。