2017年2月26日日曜日

Arduinoで実用品:ポンプ駆動装置・3 【ケース編】

ソフト編をまだブログにまとめていませんが、いよいよ完成です(オイ)。

苦労しましたー。

ただ、レーザー加工という技術を知らないままだったら、たぶんお引き受けできなかったと思います。手近なレーザー加工レンタルあるいは手頃なレーザー加工業者さんが見つかったことが大きいです。

■まず概要設計■

ユーザさんから利き手や手の大きさ、作業時の姿勢などをヒアリングします。長時間操作する必要のあるボタンなどは腕を上げた状態だと辛いので、テーブルに腕を置いた状態で指の動きだけで操作できるようにします。

最初の提案ではボタン類はすべて正面に置いていたのですが、机の上に手を置いた状態で自然に操作できるよう左右に振り分けました。

右側にstartボタンと緊急stopボタン、左側にパラメータ設定用ダイアル。正面下にディスプレイを設定しました。実際にテーブルに手を置いて、自然に指を伸ばすと机から50-70mm、などと実際に測定することも大事です。

3D CADなどの使える人は、ACアダプタ、モーター、基板、スイッチなどの各要素を大雑把な立体(直方体や円錐)で表現して、配置を考えます。私のように3D CAD使えない派は、紙に三面図を書いてその上に並べてみるのが一番です。その際、部屋の模様替えでやったように主要な部品を切り抜いた紙で作っておくと捗ります。

なお、其の場合、本体から飛び出してくるコードのことを忘れないようにしましょう。ネジ穴などを開けちゃった後にDCアダプタを入手したら、当初想定していたDCプラグより遥かにご立派なものがついていたので、配線の余裕が減ってちょっと苦労しました。

今回ギリギリのサイズではないので助かりましたが、「小さくして」は常に要望として出て来ることなのでやっぱり3D CADなどで干渉しないかチェックできるようになりたいですねぇ・・・。

できたら一度図面を清書して、主要な寸法を書き込んでおきましょう。また、各部品のネジ穴サイズと位置なども計測して記載しておきましょう。

■設計準備■

外寸をベースにして、MakerCase.comでFinger Jointのケースを定義しました。

アクリルは圧縮性がほとんどないので木材のようにごまかしがききません。ホゾを組み合わせる面が狭すぎれば入らないですし、広いと接着剤の泡が目立ちます。またレーザー加工機ではビームの太さの分だけ素材が消滅しますので、切断時にはその分を織り込んでおく必要があります。

レーザー加工機ごとにビームの太さが違いますので、工場にビームの太さを尋ねます。だいたい100-200μm(0.1 - 0.2mm)です。

MakerCase.comでは、データの詳細設計ページに各種パラメータを設定できます。Vector Cuttingでは切断線の太さを色を指定します。多くの加工機で0.01ptの#FF0000を指定することが多いのですが、ここではちょっと練習として2mmの#FF0000を設定し、Laser Cutting Kerfタブの「Laser Cutting Kerf - beamwidth」というパラメータをいじってみます。0を入力するとこうなります。


一見ピッタリあっているように見えますが赤の部分は消えてなくなってしまうので、太さの分だけスッカスカになってしまいます。次にkerf:0、ビームの太さの1/2=1ということで本来-1を入力すべきかと思うのですが1を入力します。するとビームの太さの分だけ溝の大きさが変わって、切断した残りが上下左右ともぴっちり合わさることがおわかりいただけるかと思います。


つまり、ここのパラメータは値が小さいとスカスカ、大きいとキツくなり、レーザービームの太さの1/2を超える値を入れると組み立て不可能・・・ということになります。

アクリルをファブスペース三鷹とElecrowで切断した経験(どちらもビーム径は0.2mm)では、ここのパラメータは0.06ぐらいが一応の目安かと思います。ミストラルさんの場合3mmのMDFでは0.04mmはかなりゆるゆるで持ち上げると板が外れる状態(でも接着剤が断面に入りやすいので作業はラク)、0.08mmはきつくて叩かないと板がはまらない状態でした。もうちょっとキツくすれば水がもれないようになるのだろうか?と思っていますがまだ試していませんw

いずれにしてもレーザー加工機によって大きく異なります。厚い板ほど顕著に症状が出やすいので、予行演習として5mm厚のアクリル板から50mmの立方体を作るデータをギャップごとに数種類用意して業者に送って切ってもらい、実際に組み立ててみるのが良いかと思います。おかげで私の部屋はMDF板の焦げるにおいと、使い道の分からない木箱とアクリル箱がゴロゴロしております(笑)。

■設計■

手順としては、MakerCase.comで箱データを出力し、Illustratorで穴あけデータを加える、ということになります。

上記の通りMakerCaseデータは各パーツが隙間なく密着していますが、これはレーザー加工機にとってよくないので、Illustratorで適当に離します。

穴あけは内寸外寸を間違えないように相対指定やらグループ指定やらを駆使して正確な位置に丸や長方形、角丸などを配置していきます。昔、スイッチの回転防止の切り欠きをアルミシャーシの上に作るのは大変だったなー、などと昔話に逃げると切りがないのでやめます。でもドリルとニッパーとヤスリで小一時間かけて開けたスイッチ取り付け穴が線描くだけで寸分の狂いも怪我もなく仕上がるのだから素晴らしい。

■カット■

今回、いろんな都合により、2箇所のレーザー加工機の合作となりました。材料を買ってあったので、ファブスペース三鷹へ行ったのですが、以前書いた通り加工機が途中でオーバーヒートして4枚しか切れませんでした。再度三鷹に行ったりしましたが、結局うまくいかず、急遽ミストラルさんで切って送っていただきました。

それぞれビーム太さが違うのでちゃんと組み上がるか心配でしたが、問題ありませんでした。

■接着■

UVレジンでの接着などいろいろ練習しましたが、強度優先でアクリサンデー接着にします。ここからは、なるべくホコリや指紋がつかないよう「品質管理用手袋」を着用します。

筐体の内側になる面の保護シートを剥がして、底+後+左+右を組みます。指組でないふつうの直線接合なら2枚ずつ接着していくのですが、指組の場合は一箇所が0.1mmずれただけで他の板が永遠にはまらなくなってしまうので3-4面を組んだ状態で「直角」を確保する必要があります。

組み立てたら、ここでもう一度、接着面にゴミやホコリが挟まっていないか確認して、ハタガネでスキマがあかないように軽く固定しておいてから、マスキングテープで接着面の外側を止めます。テープでしっかり固定できたらハタガネは外します。外す際にスキマが広がるようならテープでの固定が十分ではなかったということなのでやりなおしです。なおハタガネを外してから接着しないと接着剤でアクリルが解けてどんどんめり込んで行ってしまいます(経験者談)。また、テープでしっかり固定しないとスキマが大きすぎて接着強度が出ません。

さて、心を落ち着かせて接着です。アクリルサンデーを工作用注射器に入れ、一番細い針を取り付けます。そして、奥から手前に引くように接合ラインに接着剤を流していきます。毛細管現象で吸い込まれていきますが、吸い込まれるときれいに透明になるので、それ以上は注がないようにしつつ、一定の速度で静かに静かに。底面の3辺について接着が終わったら、指で左右から押して見てスキマがないかを確認します。特に奥と左右の板をつなぐ箇所が緩んでいないかをチェックします。アクリル接着剤は数秒で固まりますが、やはり数十分放置しておいた方が接着面に曇りなどが入らず良い仕上がりになると思います。

で、奥と左右の接着ですが、前述の通り、縦に接着剤を流すのは難しいので、箱を横倒しにし、奥の面を下にして接着剤を流します。

今回、メンテナンス性を考えて前面と上面は接着しません。上面はポンプの自重で固定されますし、前面は指組でがっちりハマってます。

■組み立て■

部品を取り付ける前に、もう一度、エアダスターでホコリを飛ばしてからマイクロファイバーで念入りに掃除します。

奥にあるACアダプタをテグスで縛ります。結び目は外科結びにして、UVレジンで固めます。

基板は貼り付けボスで固定します。これの両面テープは異常に強力なので、一発で位置を決めてください。相手がアクリルの場合は張り付いたら傷を付けずに剥がすのはまず不可能です。ボスと基板には3mmのタッピングビスで止めます。

OLEDはスペーサーとプラスチックネジを取り付けてネジにセメダインBBXを塗り、アクリル板の穴に差し込みます(その前に外側にマスキングテープを貼っておくこと)。BBXはゴムのような粘着系なので、それほど機械的強度の必要ないものを止めておくのに便利です。

フットスイッチの配線を通し、一回結び目を作って外から引っ張られても基板コネクタに力が伝わらないようにしてから基板に接続します。あとはコネクタの順や配線の取り回しなどを配慮しながらスイッチ類を固定していきます。スイッチ類は基本的にコネクタで接続していきますが、ロータリーエンコーダーとゲームスイッチははんだ付けなので、引っ張られて断線しないようにこれらもUVレジンで固めておきます。

ポンプは別の機種への交換がありうるとのことなので、レジンでは固定しないでおきます。基板側はターミナル接続なので、引っ張られて断線しないようにテグスで結んでおきました。天板とポンプの固定は、ステンレスのM4ネジです。ポンプの寸法図にネジの長さがわかる数字が記載されていなかったので少し長目のものを注文したのですが・・・長かったです。両側にステンレスワッシャーを入れて、ステンレスナットで固定します。

ネジ類はモノタロウがラクで安いんですが、この先の人生で多分使い切ることのでできないであろう300個のM4ステンレスワッシャーとどう暮らして行けばいいのでしょうかw

フロントパネルとポンプのついた天板を乗せて完成です。

まずポンプに何もつないでいない状態で電源を入れて試運転。動きました。次に、薬剤タンク、ポンプ、注入ボトルをテスト用のシリコンチューブでつないで運転してみます。チューブが柔らかすぎて吸入側が潰れますが、何とか吸い込んでくれて動作しました。実際に使用する際にはもう少しかたいチューブを選ぶ必要があります。表示やロータリーエンコーダでのパラメータ設定も問題なし。一応本業はソフト屋ですので、UIはしっかり作りました(自画自賛)。

完成です。


横出しのコネクタにしたりケーブルの色を揃えたりすればもうちょっと見た目きれいになったと思うのですが、うーん。あとフットスイッチの色が渋いっすね。

■失敗リスト■

本体はともかく、プラグ類が想定よりもでかくて固くて対応に困った
→特にACアダプタ。手元にある24V1Aので設計したら、24V2Aのはご立派でした。

部品を取り付ける穴は忘れなかったけどケーブル通す穴を忘れていた
→追加で加工

ネジ穴のない重量物(ACアダプタ)をどうやって固定するか悩んだ。
→底板に追加で穴を開けてテグスを外科結び+UV接着剤で固めた

MakerCase.comの「内寸指定モード」にバグがあって意図した寸法ではなかった
→試作MDF板で気づいたのでダメージは少なかった


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