■追記2018-03-22■
これはあまり初期費用をかけないで表面実装部品をきれいに実装しよう!という方向けの記事です。その後、0.5mmピッチのICやコネクタを扱うようになり作る枚数も多くなったので、ステンシルプリンターとリフロー炉を導入しました。■ホームリフロー■
いきなりアフィリでも狙ってんの?ってタイトルで恐縮ですが、ホームリフローを始めて18ヶ月にして初めて購入したサンハヤト「表面実装部品取付キット SMX-21」を使ってみました。
最短時間で不良ゼロ
でした。マチ針を使って「うまく塗れない」と言っていたあの日。マンガ「ハルロック」から得た知識でマイナスドライバーを使ってうまく塗れるようになって歩留まり向上したあの時。そして購入後18ヶ月を経過してさすがに品質低下してはんだボールだらけになり「ダメだこりゃ」と気付いた朝。ついにさようならです。
白い箱の中身 |
■注意事項■
箱を開けると「表面実装部品取り付けキット 特殊クリームハンダをお使いになるまえに」という注意書きが入ってます(フラック成分が固まってピストンが動きにくくなっていることがある云々)。私のはそれほどではないものの少し固くなっていたので、記載通りの処置をして問題なく使えました。とはいえ、最初使う時にはどのぐらいの力で押したら出てくるのかわからないので、ティッシュなどを用意するか比較的面積の広いパッドを標的にするのが良いかと思います。クリームハンダは冷蔵庫で保存する必要があります。作業の1-2時間前に冷蔵庫から出しておきましょう。ただ、室温に戻ったとはいえ手の温度よりは冷えてます。冷えたものを暖めると当然熱膨張します。そのため、ふと気が付くと5mmぐらいハンダが出ていることがあるので、作業は手早く行い中断する場合にはティッシュなどの上に置きましょう。ただ瓶に入っているものと違い、瓶からスプーンですくい取るという作業がないので、中断せずにずっと拡大鏡の視野の中で作業し続けることができると思います。
あと念のためですが、キットには接着剤が付属しています。これでチップを固定するとハンダ付け作業が楽になるのですが・・・この接着剤はリフローには対応していません。あくまで手ハンダ用の接着剤なのでお間違えなく。
■塗布■
もう簡単です。拡大鏡をみながら注射器でプチプチと粘り気のある灰色のクリームを置いていくだけです。クリームはかなり粘り気が強くパッドに触れるだけで付着してくれるのでサクサク進みます。ESP-WROOM-02は底面に接点があるのでブリッジしないか心配になったのですが、パッドを無視して一列にブチューっと流し込んだだけです。ただ、チップを押し付けると表面張力が悪い方に作用してしまうと思い、そっと乗せるだけにしました。溶けた時にレジストがハンダをはじいてくれるはず。いずれにせよブリッジのリスクは高くなるので、積極的にはオススメはしません。「一列なおもて動作す。いわんや1パッドごとに置いておや」って感じ(違チップ部品に関しては、2012なら楽勝でハンダを置きにいけます。
というわけで塗り終わったのがこちらです。
率直に言って汚い。慣れてないからしょうがないねっ |
ご覧のように、ちょっと多すぎですね・・・チップ抵抗などはたぶんこの半分ぐらいでいいかと思います。拡大鏡で見ながら作業していると立体感がなくてどのぐらい盛っているのかわからないのと、ハンダのノリがいいのでついつい多めに出してしまいました・・・。なお、写真のタイムスタンプによれば、開封写真の最後〜塗布完了写真の最初まで約15分でした。前回マイナスドライバーで同じ基板に塗った時には30分程度かかっていたと思うので、大幅な時間短縮です。
さて、部品を置いていきます。アル中気味の私ですが、チップ部品を置くときでも手が震えないのでまだ大丈夫かなと安心する一時です。
もうはみ出しまくりだし、ESPの下など本当に不安になってしまう状態ですが、ともかくやってみます。
リフロー工程は
- ホットプレートにフタをして150度ぐらいに温めておく
- 基板をそっと乗せて、1-2分ほど余熱する。この時、温度を確認するために蓋を開けなければいけないですが、温度はそれほどシビアに考えなくても良いと思います。1-2分と幅がありますが、余熱することが目的なので基板表面が140-150度ぐらいになったらOKではないかと。
- 加熱開始、ホットプレートの表面が250度を越えないように注意しつつ、じっと見ていると基板表面が180度を超えたぐらいのところでハンダがキラッと溶けます。そのままホットプレートの温度を保ち、基板表面が210-220度ぐらいになったところで加熱をやめます。
- あとは全力でうちわ等で扇いで冷まします。基板表面が150度ぐらいまで冷えればもう触れたり落としても部品が動いたりすることはないので、ピンセットでステンレス流し台などに置いて冷まします。
…あ、リフロー完了直後の写真がない。
というわけで、スイッチやピンソケットなどてハンダ部品取り付け後の写真しかありませんが、こんな感じに仕上がりました。R10のあたりはクリームハンダが盛大にはみ出していたのですが、大きなはんだボールが2個あっただけで、フラックスクリーナーで簡単に除去できました。抵抗などかなりの大盛りですね。ESPについては「ここは少し多いな」というところ(下の写真左下端)は大盛りになっていますが、それ以外のところはきれいに溶け込んでいます。
さて、あとはチップの下でショートしていないかを通電前にテスターで確認をします。
- VinとGnd、3v3とGnd、Vinと3v3間がショートしていないか
- ESPの全ピンの接続とブリッジ確認
- テスターでパッドとその端子が導通しているかを確認
- 隣のピンとショートしていないかを確認
- 抵抗、コンデンサ、LEDなどが正しい値を示しているか確認
- 回路によっては必ずしも表示値と同じにならないので、他の部品との並直列などに考慮する必要はあります。
なお、電源の入力側と出力側の抵抗値を測って記録しておくと、次に同じものを作るときの参考になります。
冒頭書いた通り、ハンダ不良ゼロで一発で動きました。いえー。
■ハンダをしまうときのtips■
シリンジを少し引いてからジップ袋にしまいましょう。発生するガスや熱膨張に起因するキャップの内側にハンダクリームが漏れて固まる現象を軽減できます(と経験者は語るorz)。でもシリンジ引くと空気を吸って酸化が早まるような気もしますし…どっちが優先するかは今後の課題とさせていただきます。追記(2016-01-31):注射針(ニードル)は、使った後1-2週間で詰まりますね。試しに交換しないで置いたら、2週間後は固いけど少し水っぽい、4週間たつと渾身の力を込めるとごく少量出てくるレベルで、まったく使えません。2週間後に水っぽくなったのは、固まりかけたものがフィルタみたいな状態になり、フラックスだけがにじみ出てきてしまったせいだと思います。
注射針はキットには5本しか入っていないし少し太いかなと思うので、ebay.comなどで安い工作用の注射針をまとめて買っておくと便利です(送料無料で500円ぐらい)。
SMT SMD PCB Solder Paste Adhesive Glue Liquid Dispenser+Dispensing Needle(50pcs)
5本ずつ10種類も入っているので、細すぎるのと太すぎるのが余ってしまうのが悩みです。国内だとインクジェットプリンタのインク入れ替え用に売られているものが入手しやすいようです。
いずれにしても、使い終わったら注射針をつけたままにしておいて、その次に使用するときにはまず針を変えてから作業するのが良いです。ご参考まで。
ウォ〜〜、これは劇的な技術革新ですね。
返信削除ステンシル必須だと思って、どこか出力してくれそうなところを探していましたが、それも不要という話。すごいな。
ESP-WROOM-02の接点部分はブチーっと横一列に塗るだけで良いんですか? これは衝撃的。これなら、私でもやれるかも….
朝酒を飲む前の私でも出来ましたから、手と目があれば誰でも出来ますよ。
返信削除ESPのところは横一列で構わないってのもすごいですが、その気になれば一個一個置いていくのも面倒なだけで出来ないわけではない、というのもありがたいです。
安いハンダとマイナスドライバーだとクリームをなすりつけるようにしないとパッドにくっついてくれないんですが、サンハヤトのキットだとマジックインキで印をつけるみたいにペタペタ押していくだけでできてしまいますから。