■動機は安直■
最近妙にLEDに関係するものを作ることが多いのですが、50-300mA程度の定電流を確実かつ簡単に提供できるデバイスというのはあまり選択肢が多くありません。定番はLM371ですが、Vin-Voutドロップ電圧が2-3vほどもあるので、基準電圧の1.25vと合わせるとバカにならないロスになります。かといって、CL6807などのLED専用スイッチング式定電流デバイスは効率は良いもののチョークコイルなど外付け部品が多くなってしまいます。1A流すならともかく、50-150mA程度の電源にインダクタとSBDはちょっと大げさかなと思います。何か適当なデバイスがないか物色していて新日本無線のNJM11100という「出力可変型 逆電流保護回路内蔵 低飽和レギュレータ」が目に止まりました。TK11100と置き換え可能だそうです。
- 逆電圧、過電流、サーマルプロテクション
- 低ドロップ電圧(200mV)
- 出力コントロール端子
- SOT-23-6-1パッケージで小さい
- 1.25v基準電圧タイプ
- 最大出力電流240mA
- 秋月で5個150円(CRDより安い)
比較的ロスの少ない定電流源としても使えそうな予感がします。パッケージ小さいですが、何とか手でハンダ付けできるサイズ。ドロップ電圧0.2vなのでLM317よりもかなりロスを小さくなります。個人的には先日CRDを壊してしまい壊れたCRDによってLED数本を焼いてしまったので、いろいろな保護回路が入っているというのも安心です。
なお、秋月でこのICについて配信されている資料は完全なものではありません。こちらの新日本無線のWebで配信されているものには回路例のパラメータや過渡特性が加筆されています。
■お約束■
この記事の情報はあくまでも個人の実験結果を報告するものであって、内容を保証するものではありません。以下はメーカーにより提示あるいは示唆された使用法ではありませんし、私を含め他の如何なる製造業者等によって保証されたものではありません。場合によっては貴方のPCを始めとする家屋財産等に損害を与える危険性があります。記載された情報等により惹起された如何なる結果に関しても著者は責任を負いません。
予めご了承の上、この前にお進みください。
■さっそく試作■
というわけで試してみました。秋月のSOT-23-6-1オペアンプ用基板がパスコンの位置も含めて丁度使えます(2016サイズ, 0.1uF)。最初に基板にフラックスを塗って、生乾きのうちにチップを置くといい感じに固定できます。あとは少なめのハンダをピンに載せてからランドとの間に染み込ませるようにすればいい感じでハンダ付けできます。2番ピン(GND)にハンダが回ってない…orz |
出来たものをまずブレッドボード上で基本の定電圧回路として動かしてみると、基準電圧VadjはVoutとの差ではなくGNDとの差であることが判明。LM317などの可変三端子レギュレータを定電流として使う場合Voutと負荷の間にシャント抵抗を入れて、シャントとVoutの差をVadjにつなぐのですが、NJM11100は違います。
■定電流回路■
てことで、NJM11100を利用した定電流回路図。…さくさく進んだように書いてますが、VadjがGNDから1.25vであることに気づくまでは試行錯誤しまくりでした。まぁそれでも壊れなかったのだから、なかなか丈夫な良いチップです(待て
ご覧のように、共通のグラウンドからシャント抵抗(R = 1.25V / 電流値、50mAの場合は25Ω)を通してLEDカソード(ー)につながり、アノード(+)からVoutへ。カソードからさらにVadjにつなぎます。こうすれば、電流によって生じた電圧が1.25vに保たれるようにVoutが制御され、結果として定電流回路として働きます。
■PWMを試す■
LM317などの三端子よりはジャンパ多いですが、コントロール端子によるスイッチは比較的低速のPWMぐらいなら追従してくれそうな感じ。で、結果ですが…立ち上がりは比較的速いものの、立ち下がりが遅く、Vcc9vで500Hz, 50%のPWMを入力した場合、3vまではストンと落ちるものの3v以下ではダレてしまって完全にoffになる前に次の立ち上がりが来る状態でした。白色LEDのVf以下なので、それほどロスや発熱にはならないと思いますが…まぁ本来の利用方法ではないので仕方ありません。…スクリーンショットを貼れるようなオシロが欲しいorz
PWMなしで動かすのであれば100mAぐらいなら放熱器なしで使えるので、基準電圧などによるロスを除いても白色LEDをギリギリ直列5個までドライブできそうです。合計しても15v x 0.1A = 1.5wなので明るさはそれなりですが。
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