V-cutは、端から端まで横断するV字の溝です。小さな基板を複数まとめて作り、実装が終わったところでポキンと折ります。スキージング回数は減るしpick&placeもまとめてできるし基板費用も安く済むので大変ありがたいです。
今までわたしは、Panel by JLCPCB、つまり1枚分の基板データを渡して、「あとは縦x枚、横y枚に割り付けてください」ってお願いするだけでした。
が、これだと同じ基板を複数作ることはできますが、異なった種類のものを同じ基板に割り付けるのは自分でやらないといけません。
ってことで、やってみました。
■コピー元のデータを用意する■
当然、Eagleを使って基板を設計します。今回は、秋月で売ってるGaN MOSFETブレイクアウト基板を2種類作りました。■パネライズする■
出来上がったボードデータをそのままコピーしようとしても、部品番号が自動的にインクリメントされたりでうまくいきません。そこで、パネライズします。なお、パネライズしたあと、Saveしてはいけません。パネライズはツールバーのオレンジ色の「Run ULPボタン」をクリックし、
検索欄にpaneと入力すると絞り込まれてpanelizeが残ります。panelizeをダブルクリックします。
これでtNames, bNamesが部品番号と切り離れた_tNames, _bNamesにコピーされます。
基板全体をGoup Copyし、SaveせずにWindowを閉じます(Panelizeした状態で上書きするとこの後の修正時などに掃除が大変)。
【追記07/29】全体のGroup Copyの際には 、以下の手順がオススメです。
- 表示LayerでShow Layersボタンを押して全レイヤーを選択
- 20 Dimensionだけを除外してOKボタン
- cmd+Aで全選択
- カーソル位置を原点にあわせて座標表示が0,0になるのを確かめてcmd+C
特に4番大事。これやるとペースト先で座標がずれません。え?知ってました? 私知らなかったです……。Windowsの方は適宜キーを読み替えてください。【追記終わり】
■新しいボードを作りペースト■
File->New->Boardで新しいbrdを作ります。回路schは不要です。JLCPCBの場合、パネライズの最低サイズは70x70mmなのでこれ以上になるようにします。あまった部分に詰め込んでもいいですし、さくっとカットしてもいいです。
カーソルを原点に合わせてからcmd+Vでさっきコピーしたボード図をペーストし、正しい位置に置きます。同じものが複数必要ならば、正しい位置に必要な回数コピーします。saveします。複数の回路を組み込む場合は、パネライズとペーストを繰り返します。
基板の配置は、かならず碁盤の目のように縦横が並んでいないといけません。冒頭に書いたように、V-cutラインは端から端まで一直線に横切らないといけないからです。
■V-cutのラインを入れる■
アイコンからLineを選び、レイヤーとしてVscore、太さ0.5mmを指定します。太さは0でもいいですが、カットする幅が必要なのでカット幅がパターンやシルクをケズらないか確認する意味でも太さを指定した方が良いと思います。端から端まで縦縦縦縦横横横……と線を入れていきます。なお、下の図で、下の方にやたらスキマが開いているのは、70x70mmというルールに後から気づいた(指摘された)からです……。 もともとの設計は60x50mmだったのですが、今回の基板、四隅の固定ネジの間隔は決まっているので、もったいないですが左右と下に余白を追加しました。なお、V-cutを依頼する場合、JLCPCBでは70x70mm、ALLPCBは80x80mmが最低外形寸法です。
■Gerber出力■
いつものCam processerを使ってGerberを出力しますが、いつもと違う点が2つ。processorによって違うかもしれないので、私がいつも使っているSystem Example -> Third Party -> OSH Park -> OSHPark_2_Layer.camを例に説明します。まず、Gerber下のBoard Outlineには、Edit Layersのボタンから「Vscore」を追加します。これをしないとV-cut用に書いた線がgerberに出力されません。
Vscoreを追加すると、右の窓にgerber線が追加されます。
次に、Top Silkscreenでは、同様にEdit LayersボタンからもともとのtNamesを除外し、_tNamesを選びます。裏面にもシルクがある場合も同様にbNamesを除外して_bNamesを選びます。
あとは、Process Jobをクリックすれば、.zipが出来上がります。
■発注時の注意■
JLCPCBに注文を入力する際に、何種類のデザインが混在しているか、を忘れずに選びます。Different Designを2以上にすると自動的にDelivery Formatが「panel by Customer」に切り替わります。あとは、いつものように発注しましょう。
あ、パネライズ初体験の場合は、チェックアウトの3.Submit Orderのところで「Review Before Payment」を選んだほうが良いと思います。私もやらかしてキャンセル→再注文になってしまいましたので……。
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